探偵日記

探偵日記 10月21日金曜日 晴れ

少し肌寒い朝だった。夏から冬へ、そんな感じの移ろいである。生まれつき軟弱な僕は、雨、風、雪、暑さ寒さ、等々嫌いだ。といっても、今日のようにさわやかな秋晴れの日だからといって、特別頑張ろうという気にもならない。ぐうたらで飽きっぽい性格は幾つになっても治らない。それなのに、なぜ、肉体的にも精神的にもハードな「探偵」という職業を選び、しかも50年近く続けてこられたのか、自分のことながら大いに疑問である。

思えば僕が探偵になった頃、新聞の募集欄に「お手伝いさん求む」とか、「経理の責任者若干名求む」というのがあった。また別に、「探していますご存知の方がいらっしゃいましたらご連絡ください薄謝進呈」などの人探しの広告が出ていた。大概は家出をした娘や息子の消息を知りたい親からの広告だった。僕は某探偵事務所の新米調査員だったが、仕事が無くて暇なとき一計を案じた。-----------