探偵日記

探偵日記 11月19日土曜日 雨のち曇り

昨夜も午前様だったし、今朝は雨なので恒例の朝練は中止。ジムもさぼった。ただ、朝ごはんはいつもどおり8時に美味しく食べ、またベッドでゴロゴロ。正午車で出かける。事務所に来てみると、お休みのはずの高ちゃんが居るのでビックリ。聞くと、決算の事務処理が進まないので急遽出勤したとか。調査員たちも現場で張り込み中。本当にご苦労様である。

ロマンチックな恋の結末 12

夜中の2時、205号室のドアが開く音がした。203号室の若い調査員が気づき、飛び起きてドアを薄く開けて様子を見るとマルヒが出かけるところだった。他の部屋に知らせる間もないので、寝巻の上にジャンパーを羽織って、玄関上のガラス窓から見ると、マルヒはホテルの駐車場の隅で空を見上げていた。田沢湖の初秋は夜ともなれば、かなり気温が下がって、建物の中にいても胴震いするほどだ。マルヒも沢山着込んではいるが長時間は無理だろう。と、思って見ていると20分少々でその場所を離れホテルに戻ってきた。自室入り何やらごそごそしていたが、間もなく静かになった。
翌朝6時、軽装で部屋を出たマルヒは1階の食堂に下り朝食を摂るとすぐに部屋に戻った。その後、湖の周辺でも散策するのかと思っていたが、昼食も摂らず部屋にとじこもっているばかり。調査員が集音器を耳に当ててもテレビの音が聞こえるだけで、マルヒが何をしているのかさっぱりわからないまま夜になった。若い調査員が二人に昨夜の様子を話すとNが、「変なジジイだよな~あれで本当に浮気してるんだか」と言えば、もう10年調査員をやっているOも「女房の思い過ごしじゃあねえか」と混ぜっ返し、三人は隣室に聞こえないように大笑いした。良く(惚れた弱みで痘痕もエクボ)と言うが、そんなものかもしれない。しかし、三人とも決して配偶者の「勘」を甘く見ているわけではない。所長も言っていた。「今度の依頼人は教養も知識レベルも高い。そんな女性が確信を持って言うんだからマルヒは必ず不倫している」と。-----------