探偵日記

探偵日記 03月10日金曜日 晴れ

今日は最高気温15度とか、昨日に続きコートもマフラーもなく出社した。まさに、小唄の文句ではないが、梅は咲いたか桜はまだかいな。の季節となった。日曜日の月例が楽しみだ。

探偵とは 7

探偵になって僕が良く思うことは、刑事になればどうだったか。ということである。一方の刑事さんは退職後の職業として探偵を希望する人が多いと聞く。実際に元警察官が業界に多数いる。Kの前職は内装屋だったようだが、ずーっと探偵に憧れたいたらしい。それにしても度が過ぎた。6、で書いたようにKは独立するにあたって、千代田区一番町に事務所を設けたが、本当の事務所名とは別に「調査庁」というまやかしの名称も使っていた。当時、近くに本物の調査庁が存在したが、これに便乗して悪用したのであった。しかも、ご丁寧なことに、「株式会社調査庁」という歴とした会社まで設立したのだ。例えば、鹿児島県の片田舎に本籍を持つ人の調査をする場合、戸籍謄本を入手するため、かの地に赴く必要がある。しかし、Kはすべて電話でその情報を蒐集した。まず役場に電話をかけ、(え~こちらは東京の調査庁ですが、〇×のBさんの戸籍を見てもらいたいんですが。)と言う。当時は、個人情報保護法何て悪法も無かったので、職員が電話の主を疑わずそのまま待たせて読み上げてくれた。仮に、「ちょっと時間をください折り返します」といわれても、次にかかってきた時、(ハイ、九段の調査庁です)と応じる事が出来るのである。嘘をついているわけではない。もうン十年前の話だからこうして書けるが、現在なら大問題だろう。小心者の僕などとてもまねのできる事ではなかったが、古き良き時代だった。