探偵日記

探偵日記 08月02日水曜日 曇り

売薬から耳鼻咽喉科の薬に変えて2クール経過するが回復の兆しは無い。それほど悪化したとも思えないが、まだ激しく咳き込むと血痰がでるし治癒に向かっているとも思えない。夏風邪がこんなに厄介なのかとつくづく思う。73歳になって、病気を跳ね返す体力も気力も薄れているのだろうか。
探偵は色んな案件を扱うが、素行調査の場合、必ず大きな山場がある。不倫関係にあると思われるカップルが日々接触するのだがホテルに行くなどの決定的な場面が掴めない。契約の仕方も色々あって、50万円とか100万円というふうにネットで決められることもあれば、1日、1時間いくら。というように実際に稼働した状況で計算できる場合もある。では、後者の場合、調査を開始して1日で(動かぬ証拠)が掴めたらどうなるのか、僕の事務所の「報酬規定」どおりに計算すると、1日の基本料金プラス時間料金で、仮に、10時間ほど要したら、1時間15,000円だから200,000円プラス実費及び消費税ということになる。そうではなくて、一定の報酬額で決めた場合、仮に、100万円に設定しても長期間の調査になれば、1日数万円の報酬に終わってしまう。
僕はプロである。したがって、依頼人と面談して、マルヒが間違いなく不倫してることや、(このくらいの間隔で会うだろう)などの状況は把握できる。ところが、なかなかそのような場面を把握できない。否、その日に限って失尾(まかれること)しているのだ。これがいわゆる「山」で、一旦しくじると後が大変なのである。「反対車線でタクシーを拾われてしまって」と、調査員は言い訳をする。まあ、どうしても追えない状況もあるだろう。現場をよく知っている僕はそんなとき怒れない。
Uターンするために、一人の調査員が路上に寝そべったりした。遠い昔の意欲溢れる探偵の下らない自慢話である。