探偵日記

11月 17

探偵日記 11月17日金曜日 晴れ

穏やかな秋晴れだが少し寒い。冬物のコートに厚手のマフラーをして家を出る。電車に乗っても僕が一番着込んでいるようで少々恥ずかしい。
昨夜8時半に訪れた依頼人は四十路を少し過ぎたキャリアウーマン。けっして美人ではないが知的な目をした素敵な人だった。相談の内容は自分のことではなく、友人のことを心配してのものだったので、僕は(仕事にはならないな)と察したが知人の紹介でもあり丁寧に接したつもりである。1時間余りで面談が終わり、阿佐ヶ谷に帰って軽く飲んで帰宅した。

結婚 4-6

依頼人と別れたマルヒは、友人らしき男性とアルタ裏のバーに行き、もう最終が無くなった頃に出てきた。調査員らは(タクシーで帰るのかな)と思った。すでに靖国通りに尾行用の車両も待機させてあり、タクシーに乗ってくれればその方が有難いようなものだ。例えば、最終に飛び乗って私鉄沿線の郊外の駅に行かれ、駅前のタクシーに乗られたりすると厄介である。ところが、友人と別れたマルヒは歌舞伎町の漫画喫茶に入ったという。勿論、調査員らは徹夜になった。
翌朝、さほど疲れた様子も無く、漫画喫茶から出てきたマルヒは、なんと霞が関の財務省に出勤した。
またしても長い張り込みを余儀なくされた調査員は、交代で仮眠を取ったり腹ごしらえをしながら正門と建物の左右に通用口を監視。午後9時、やっと出てきたマルヒは、この日は何処にも寄らず、目黒区東山にある官舎に真っ直ぐ帰宅した。途中、経過を知りたくて電話してきた依頼人に、勤務先を告げると「え、商社じゃあないんですか」と驚いている。マルヒは自分の職業について、なんとなくそれっぽい話をしていたらしい。-----------