探偵日記


2021・09・01 水曜日 曇り




今日は災害の日というのだろうか、昔は別の言い方だったように思う。いわゆる旧暦の210日で、その昔起こった関東大震災に起因するらしい。「13日の金曜日」と似たようなものか。とはいえ、用心するに越したことはない。天気も良くないし(今日は家でじっとして居よう)などと、コナンは決して考えない。




昨日の続き、若い男性の依頼人は僕の忠告と法外な調査料を聞いても帰ろうとしない。じっと下を向いて何やら考えていたが、やがて、「よく考えてみます」と言って、やっと帰っていった。それから数日後、その依頼人がやって来た。何やら晴れ晴れとした表情でやや興奮気味に「ではこれでお願いします」と言いながら、カバンから先日僕が示した調査費用全額を取り出した。(まいったな)と思ったが今さら出来ませんとも言えないし、貧乏探偵事務所としては喉から手が出るぐらいであった。(じゃあ引き受けるけど違法なことはできないよ)と念を押し、(まだ彼女は君の誘いに応じるかな)と聞くと、「呼べばご飯くらい付き合うと思います」とのこと。数日後、二人は会い予定通りファミレスで食事した。その後の結果はあえて書かないが事務所の仕事は終了した。          それから数年が経ち、ある朝、読売新聞を読んでいたら、数日前北海道の摩周湖のほとりで発見された男性の死体が殺人であり、その犯人が捕まったという記事が目に入った。あの若い依頼人は当時の彼女とは別れたが、すぐに別の恋人ができ同棲していた。しかし、その女性にも浮気をされたげく去られた。そして、亡くなった男性はその女性の新しい恋人だった。 戯れに恋はすまじ。