探偵日記

探偵日記 12月21日土曜日晴れ

昨日は友人との忘年会。お昼は日本橋の社長にパレスホテル東京で豪華なランチをご馳走になる。社長とは20年以上のお付き合い。ひとまわり以上先輩だがまだまだお元気で色気も充分お持ちだ。世間では、今日から三連休。しかし探偵には無縁。今日も某所で張込尾行の仕事がある。マルヒは会社員だが、申告してある住所に帰っていないらしい。また、社内の既婚婦人とおかしな風評もあり、会社としては、そんなプライベートな問題には係わりたくないが、もし住所が違っていれば、会社が負担している交通費の差額が年間50万円以上ある。捨てては置けない。ということで、小社にその確認のための調査が回ってきたようだ。しかし、と、仲介に入った弁護士は言う。調査の推移によっては更に掘り下げなければならなくなるかもしれない。と。僕もそう思う。

昨日までとはうって変わった好天気。尾行もやりやすいだろう。実は昨日、あるご婦人の行動調査を行ったが、氷雨の降る中調査員もご苦労だったと思う。僕は(こんな天気だからもう出ないだろう。引き上げてもいいよ)と指示したのだが、調査員が粘ったお陰である程度の成果を得た。ご依頼人に、(特に何もありませんでした)と報告するより、変化に富んだ報告をするほうが探偵冥利に尽きる。捏造も糊塗もしない事実を報告するのだが、「事実は小説より奇なり」の格言のとおり、昨日のマルヒの行動は理解を超えるものだった。