探偵日記

探偵日記 5月12日火曜日 曇り後大荒れの天気予報

昨夜は久しぶりに歌舞伎町のクラブへ。ゴルフ仲間で歯科医の先輩と、そのクラブの大ママとチーママを誘って食事をした後店に入った。若くて綺麗なお嬢さんたちと他愛の無い、そして少しHな会話で英気を養う。明日は二水会という奇数月の第二水曜日に行われるゴルフコンペがある。台風で中止かな。と思っていたら、台風さんが大急ぎで通過するらしい。最近は調子が悪いので台風の気まぐれがうらめしい。

Mという女 14

数日後、探偵の犬鳴は、纏め上げた報告書を持参して依頼人の元に赴いた。社内の誰も知らない探偵と役員だけの秘密の調査はとんでもない結果だった。あばずれを絵に描いたような女、(売春婦M)東北地方で御三家の一つといわれる老舗企業グループの真面目な社長が付き合うには相手が悪すぎた。しかし、当の若社長はMの手練手管に翻弄されてのめりこみ完全に自失の状態に陥っている。(さあどうするか)役員は、念のため2通作成した報告書を読んで呆然としている。

それから5年の歳月が過ぎた。本社の役員からは、時々「最近の状況を調べて下さい」という依頼が探偵社にもたらされ、その都度、簡単な調査を行い報告してきた。一方、若社長は相変らずMとの交際を続け、Mの指導が功を奏したようで、M以外の彼女も出来たらしく、何回目かの調査のときは明らかに普通のOLと判る美しい女性とホテルで過ごしていた。というのも、何かと言うと「結婚」の話題を持ち出すMを少々持て余した若社長は、Mにマンションの一部屋を借り与え、自由に羽を伸ばしていた。

徐々に距離を置かれるようになったことを肌で感じ、近い将来お払い箱になる。ことを悟ったMは「私は貴方のために家庭を棄て、自分の人生を賭けてきたつもりです。」と言うようになり、遂には、「もし、ぼろ屑のように棄てるようなら、貴方の奥さんや子供を殺してやる」と脅迫するに至った。事実、Mはもう夫との関係を修復できない状態にあり、二人の子供もMからの電話に一切出なくなっていた。まあ自業自得とはいえ、Mにしてみれば(退路を絶った)末のことだった。しかし、世間知らずでこうした免疫も無い若社長は(どうせ口だけでそんなことなんか出来ないだろう)と、たかを括っていたが、それでも気になり、月に一度ぐらいホテルに呼び出し、なだめるつもりで関係を持ったりしていた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー