探偵日記

探偵日記 7月03日金曜日 雨

今日は朝から本降りの雨。一番でクリニックに行き定期検査を受け、次の予定の神田まで行って、そのあと予定外の雑用に時間を取られ14時20分事務所へ。1ねんのうち何日かこんな日がある。やることなすことが微妙にずれて上手く行かない。それでも、僕も年を取ったのだろうイラついても周囲に八つ当たりなんかしないで我慢する。今日は早く家に帰ろう。

れんげ 5

 翌日も、その翌日も犬は楓の前に姿を見せた。楓は、何とかその犬と仲良しになりたい。と考え、おにぎりを作って、その犬が通りそうなあぜ道に置いてみた。後でそっと様子を見に行くと、おにぎりは無くなっていたがあの犬が食べたのかどうか分らなかった。ただ、周辺に野良犬は出没するようだが、楓の家の周りにはあまり現われず、その白い犬が珍しいほどだったから、おにぎりはあの犬が食べてくれたのだろうと確信した。以来、夫が出勤した後、おにぎりや、食パン等を秘かに置いてくることが、楓の楽しい日課の一つになった。しかし、野犬の警戒心は強く、そっと置いてくる食物は無くなるが、少しでも楓の姿を見つけると、遠くで立ち止まり決して近くに来ることはなかった。それでも無類の犬好きで、我が家に犬を迎えたいと熱望している楓は、一日も欠かさずシロの、そう、楓は秘かにその犬に、故郷で家族の一員の如く飼っていたシロと同じ名前を付けていた。シロのために食べ物を用意する。そういう日が一ヶ月以上も続き、シロも少しずつ心を開き始めたのだろうか、楓が食物を置く時間になると、何処からとも無く現われ、楓の住む家を眺める仕草を見せ、楓が何時もの場所に行っても遠くに逃げることは無くなった。「シロちゃん」と呼ぶと、振り返り、楓に接近するが、途中で気づき慌てて離れるなんてことが多くなった。楓は嬉しくなって、わざわざペットショップで犬を探すことも忘れてしまうほど、シロとの逢瀬に夢中になった。ーーーーーーーーーーー