探偵日記

探偵日記 9月9日水曜日 台風

朝5時、土砂降りの中散歩に出る。まだ真っ暗で高架下に他の犬はいない。昨夜飲み過ぎなかったので体調はいい。ゆっくりタイちゃんに付き合おうと思っていたのに、大を2回したらさっさと家のほうに向って歩き始めた。ドアtoドアで25分。あっさりと朝の日課が終わった。8時、ご飯を食べて事務所へ。

れんげ 44

 数日後、調布市の山本夫人からメールが届く。そこには、れんげの安心しきった穏やかな姿と、「チロとも折り合いをつけて仲良く遊んでいます。」というメッセージが書かれてあった。鷲宮家から山本家。最初は不安に思っただろうが、鷲宮家で培われ身についた社会性のたまものだろうか、れんげは、自分が幸せになるためにはどうすればいいのか。何となく判っているんだろう。
山本夫人は、里親になった人がみなそうであるように、小まめにれんげの様子を知らせてくれた。「れんげは本当にお利口さんです。」というメッセージと、先住犬がご飯を食べている間、その後ろで、大人しく自分の順番がくるのを待っているれんげの写真が添えられていた。ただ、ある時、「すみません。チロがれんげの手を噛んでしまいました。」という報告があったときは、ひかるは、心配のあまり、有給を取って山本家に駆けつけた。夫人は、本当に申し訳なさそうに、左手に包帯を巻いたれんげを見せたが、当のれんげは何事も無かったようにチロと仲良く走り回って遊んでいた。聞いてみると、チロのおもちゃでれんげが遊んでいたら、怒ったチロが一撃を加えたらしい。犬同士どんなやり取りがあったのか知るべきも無いが、怒ったチロに、れんげが素直に謝罪したのだろう。噛んだチロも手心を加えたようで、傷は浅かった。数日薬を塗っておけば自然に治癒するだろうと獣医も言っていた。と、夫人は、光るに謝りながら説明してくれた。

その後、トライアルも無事に終わり、調布市深大寺の山本家に貰われていったれんげは、夫婦と娘に可愛がられ永住の家と家族に囲まれて幸せな日々を送った。