探偵日記 11月16日月曜日 晴れ
パソコンの調子が悪い。7年ぐらい使っているものだが、古い上に何しろ使用量が多いからコンピューターも音を上げたのか。すぐに固まってしまうし、打ったはずの文字が出てこなかったりする。特に最近は数百ページの報告書を作ることが多く容量が追いつかないのかもしれない。今も、さて印刷しようとしたら「不可」となってしまった。2時に報告しなければならず困っている。誰か助けてくれないかな~
おもろい探偵たち その2)新米探偵B 1-2
皇室と縁続きのお家のおぼっちゃま御子柴蘭磨君は翌日から元気良く出社。先輩達の後について現場に行き、先輩調査員の評価もまあまあだった。確かめたわけではないが、とにかく家柄は申し分なく、経歴も素晴らしい。蘭磨君曰く「僕は東大の文1を卒業したのですが、学生時代からの下宿先を気に入って、今もそのままそこにいるんです」とかで、履歴書の住所は文京区本郷、ちょうど赤門の斜め前あたりだった。昔気質の部長など、どうかすると、蘭磨君が帰社すると、飛んでいって事務室のドアを開けて、平伏して出迎える有様で、蘭磨君自身も意気揚々として、その存在感は絶大であった。
そんな或る日の夕刻。新しい依頼が入り調査現場が奈良県の天理だった。早速担当する調査員の人選を始め、部長が(そうだ、御子柴君は奈良の出身だから彼を加えよう)と提言し、事務の高ちゃんにポケットベルを鳴らすよう指示したが返答がない。仕方なく下宿先に電話を入れることになって、高ちゃんがかけた。(あそうですかおかしなぁ)と首をかしげて戻ってくる。(部長、下宿先ではそんな人はいないっていうんですけど)と報告。部長は、(そんなことはないはずだがな~)といいながらファイルから御子柴君の履歴書を出して眺めている。------------------