探偵日記 3月8日火曜日 濃霧のち晴れ
午前10時、皇居前のパレスホテル東京でご依頼人と面談。新しい仕事を頂く。北海道のとある市で1週間の尾行調査。自分が行くわけでもないのに(まだ寒いかな)と心配する。11時、事務所に戻って調査会議を開きランチ。明日はゴルフの予定。隔月の第三水曜日に行われるコンペ(二水会)僕の大好きなコース「エーデルワイス」(埼玉毛呂山町)最近の調子からいけば間違いなく僕の優勝だろう。と、毎回プラス思考で臨むが、果たして結果はいかに。
続、新宿犬鳴譚低事務所 3
女性は、「私は山形から電話しています。あの~電話だけでもお仕事を引き受けてくださいますか。」恐る恐ると言う感じの第一声だったが、犬鳴が(ああそうですか、でもあまり訛がありませんね。)と聞くと、女性は慌てて、「ハイ、しばらく東京で生活していたものですから」と言う。なるほどそうなのか。と思って、どんな調査をお考えですか。と言い、次の言葉を待ってると、「人探しっていうか、ある人の住所を知りたいんですが」と言った。これは最も危険な調査依頼である。数年前、探偵業法が施行され、主管の警察庁からストーカーにつながるような調査依頼は決して引き受けてはならない。との通達がなされ、犬鳴としても神経を使っていた。(ああそうですか、でもそんなご依頼はお受けできません。警察からもそのように指導を受けていますし、こちらでその住所をあなたにお教えして爆弾でも送りつけられたら困りますから)犬鳴がそう言うと、女性は、含み笑って「そんなんじゃあないんですけどそうでしょうね」と言ったが、電話を切ろうとしない。事務所もできれば仕事が欲しい時である。ちょっとの間二人は無言で互いの発言を待った。-----------