探偵日記 06月28日水曜日 雨
昨日、長年可愛がっていただいた社長の訃報を聞いた。1か月ほど前、暫く連絡を頂かないので、会社にご機嫌伺いの電話を入れたら、「静養中」とのことだった。早速お見舞いに。と思ったが、社員曰く「お見舞いいただいても対応できないので」と断られ、おおよその状況を推察した。伊勢丹からお見舞いの品を送り、ついでに、何度かお目にかかったことのあるお嬢様にお手紙を添えた。お嬢様のお話では、その数日後息を引きとったらしい。もう86~7歳だと思うがお元気な方だったのでショックである。昭和の終いか平成の初めごろ、小社の広告を見たという社長から「娘の結婚相手の調査をしてくれ」との電話があり、僕が飛んで行って受件したのが始まりで、以来30年にわたって親しくさせていただいた。勿論この間、何度かご依頼を頂いたが、むしろ個人的に交わった。毎週のようにランチの誘いがあり、僕もお返しに銀座にお誘いしたりした。資産家でなに不自由のない人だったが、人知れないお悩みもあったようで、極めてプライベートな相談もされた。年齢こそ違うが、気の許せる「最後の友」だったのではないかと自負する。ダンスがお好きで、カラオケも裕次郎を好んで歌っていた。身長があり、なかなかのイケメンだった。もうあの渋い声を聞けないかと思うと淋しい限りである。お嬢様は、「生前の父の希望で家族葬にしました。ただ今度納骨の際、ごく親しい人をお招きしてお別れ会を催したい。ついては、何時も父が探偵さん探偵さんと言っていた福田さんにも来ていただきたい」との由。家で僕のことが話題に上ることが多かったらしい。心よりご冥福を祈りたい。(合掌)