探偵日記 05月17日木曜日 曇り
天気予報の通り蒸し暑い日である。10時、事務所に着く。「待ち人来たらず」ということは良くある。今の僕がそうで、数日前見積書を渡し(調査をなさる決心がついたらご連絡下さい)と言うと、「なるべく早くご連絡します」と言って帰った依頼人からまだ連絡が無い。(いずれにしても週内にお願いします)と言って送り出したのだが、僕の感じでは早い時期にGOサインが出ると思っていた。慎重な人だからまだ考えているのだろうか。僕の信条として、受件は決して無理をしない。と決めている。依頼人の気持ちがまだ本当に(調査をしたい)方向に決まっていないのに無理強いはしない。その日も僕は相談者に対し、(費用対効果をよく吟味してからにして下さい)と伝えてある。要するに、相談者の現状に本件調査がもたらすメリットがあるかどうかである。一方の僕自身はセールスに弱い。伊勢丹の紳士物売り場に行くと何か買ってしまう。だから最近は近づかないようにしている。
調査のあれこれ
昨日、某大手企業の総務の人が事務所にやってきた。用件は、その会社で取引先の社長を大勢招集して暑気払いのビアパーティを開く。ついてはその前段で僕に講演をしてもらいたい。とのことだった。過去2回同社の西日本と中日本エリアに於いて同様の講演を頼まれたことがあって、今年は東日本で。ということらしい。数日前に西日本の担当者の方から打診され、了解していたので、この日は東日本のご担当者が挨拶に見えたのである。しがない探偵の話を聞いてもしょうがないのではないか。と、僕は考えるのだが、会議の結果、数人の予定者の中から選考で僕に決まったらしい。まあ、光栄であるが、さて、何を話そうか。と悩ましい。51年の探偵稼業で数えきれない調査を経験したから候補は沢山ある。しかし聞き手がいずれも企業のトップであるからあまり低次元の話は出来ないだろう。しかし、多分探偵の引き受ける仕事がどんなものであるか、また、それぞれの案件に対する調査の推移と結論を聞きたいのだろうと思う。担当者にも言った。(探偵の話でほのぼのとした結論なんて無いよ)と。
ただ、話の根底は、危機管理及び企業防衛に通じるものになるだろう。経営者しかり、立場のある人は脇を絞めて生活しなければならない。直近では、福田元財務次官、豊田真由子議員、トキオの山口某。僕の推理では(みんな嵌められた)と思うのだが。---------