探偵日記

探偵日記 03月01日金曜日 曇り

予報では14度というからコートを着ずに家を出る。ン、寒い。引き返そうかと思ったが生来面倒くさがりの僕はそのまま事務所へ。途中、友人と会いお茶をしたので12時になった。
昨日今日と3人の調査員は千葉方面で張込。マルヒは80歳の男性。職業は画廊経営で、銀座一丁目にあるびるの1階に店舗を持っている。しかし、もう10年近くシャッターを開けたことがない。いわゆる、開店休業状態だ。家賃は月30万円。年間360万円×10年=3600万円をただひたすら払い続けている。何故か?要するに立ち退きをよしとせずごねて居るのである。実は、10年前付近一帯が開発地域に指定され、老朽ビルのあらかたが立ち退いたが、マルヒが経営する画廊だけが反対して、画廊が入居するビルだけが取り残された。ビル側は当然のごとく訴訟に持ち込みマルヒも弁護士をつけて応じた。当初、裁判所は1憶円程度の条件を出し示談を勧めたが、マルヒは三倍の3憶円を要求、成立には至らなかった。そして10年が過ぎた。当時から画廊は営業していても立ち寄る客はなく、僕も(これで食っていけるのかな)と思っていたが、掘り出し物を一つ売れば数年はやっていける商売のようで、その後の裁判でも、原告が提示する金額には頑として応じようとしない。マルヒには施設に入っている老妻がいるものの子供はおらず夫婦が死んだらお終いである。しかし、オーナーの期待を込めて、指示を受けて時々様子を見るもまだくたばりそうにない。