探偵日記


2020・11・26木曜日 晴




今日と明日の夜は花の銀座。といっても顧問先の社長に招かれてネコのようにおとなしく座り、にっこり笑って女の子のおしゃべりに付き合うだけ。お二人とも長いお付き合いで事務所にとっても大事な人である。時々、「ご飯でも食べよう」とお誘いを受けるのだが、自分のお小遣いで行けない店だから仮に気に入ったホステスが横に座っても絶対に変なことは言えないし誘えない。だからママが言う「福田さんって女性に淡白ですよね~」言い方を変えればがつがつしてない。らしいが、とんでもない。僕だって、可愛いガールフレンドが欲しいと思う時もある。ホステスちゃんのほうも(ああ、この男は客にはならないな)と見限るから通り一遍のお世辞しか言わない。豪華絢爛な世界に居ながら淋しくなってとぼとぼ帰る終電車。




不倫 8




最近は、というよりン十年前から主婦の浮気が増えた。だから僕は思う。結婚したら決して妻を外に出してはいけない。外、というの働かせてはいけない。のであって、勿論お買い物やママ友たちとのランチは大いに結構。しかし、中にはバーやクラブに勤めることを承知するバカ亭主がいる。これなど、大草原に、或いは夜の森に(飛び切りのお肉)を放り出すのと同じで、あっという間にライオンや狼に食べられてしまう。こんな田舎者の僕でさえクラブで飲むときは一張羅の服を着て、万が一女性が(どこまでもついていきます)といっても恥をかかないぐらいのお金を懐に忍ばせる。一方、主婦ホステスのほうも、家でだらしない恰好で(飯はまだか)なんてほざいている夫と、とりあえずは紳士的で、帰りに(ハイタクシー代)なんて言いながら万札をくれる客を比べて、最初はバカなじじい。と思っていても、次第にその客のことが刷り込まれてゆく。そして、1回でもタブーを犯せば堰が切れたように不倫に走る。そんな女性にはブレーキは付いていない。