探偵日記


2020・12・12 土曜日 晴れ




最近は嫌なことが多い。昨夜も信号が青になったので渡りかけたら後方からスピードを上げた自転車が来て、(オイ、馬鹿野郎)と、怒鳴って走り去った。その自転車は横断歩道を斜め駆けし、危く跳ね飛ばされそうになった。運転していたのは若い男性。何なんだ。と思ったが、不幸な人なんだろう。と思うことにした。円満で平穏な生活が出来ている人は決してそんな態度はとらない。先日、バスの乗客同士が(マスクを付けていない)などの理由で、取っ組み合いの喧嘩をしていた。この人たちも日々不満を抱き暮らしているのだろう。アレルギー性鼻炎と喘息もちの僕はマスクが苦手だ。出来ることならしたくないが、電車やバスエレベーター内ではつけるようにしている。僕も不幸で沢山不満を抱えているが、少なくとも理性のある大人のつもりである。




不倫 15




依頼人の部屋に女性が来るという日、調査を開始した。初めて知ったのだが、女性はスタッフらしき男性の運転する車でやってきた。いわゆる(配達)されたのだろう。2時間後、今度は別の車が迎えに来て京王線のとある駅で下ろした。尾行開始。簡単に女性の住所が割れた。その次の日から1週間、女性の行動を監視。朝、霞が関の大蔵省に出勤、午後5時退庁、日比谷線で六本木に行き古ぼけたマンションに入った。この日は2か所に送迎され、同じ駅で解放される。昼間は国家公務員、夜は売春婦じゃあなかったデリヘル嬢。マルヒの女性は派手な化粧もせずむしろ地味な印象だった。依頼人もそういうところが気に入って、「結婚」を申し込んだという。・・・・