探偵日記


2023・01・23 月曜日 曇




朝家を出たら粉雪が舞っていた。今週は今年一番の寒気がやってくるというので覚悟はしていたが、まさか雪になるとは。あと2か月、寒がりの僕には辛い日々が続く。それでも今週は色んな予定が入っていて、夜遅くなるだろう。こんな日に必ず思い出す調査がある。僕がまだ神田の「東京探偵事務所」に勤務している頃、事務所の先輩に誘われ同僚のK君とアルバイトした。勿論事務所には内緒で、適当な理由で休みを貰った。当時、在職していた調査員全員が休んだので所長も変に思ったはずだ。調査は、ある高齢の女性の素行調査。張込場所は、とある密集した住宅地。しかも、車が通り抜けできない細い路地に面した場所に建つのがマルヒの自宅。張込を開始したころから雪が降り始め、やがて大雪になった。我々は先輩の指示で、一人づつ30分交代で立ちんぼ(立って張り込むことを言う)することになった。残る二人は駅に行くなら絶対に通る道に面した喫茶店で待機。傘を差し、ものの10分もすると、手はかじかみ傘を持ち換えながら待つ。朝からやって午後になっても出てこない。午後3時、K君が先輩に「もうやめましょうよ、あの婆さん浮気なんかしてないでしょう」と。僕も、(金なんか要らないかやめたい)と思っていたからK君に同調した。すると先輩が「俺たちはプロだろう。雪が降って寒いからやめたいって、それはないだろう」と叱責され渋々続行した。午後5時、張込を開始してから8時間経過した時、着飾った婆さんが出てきた。最寄りの駅から渋谷へ。そこで初老の男性と合流し、真っすぐラブホテルに入った。3人の調査員はエッ。