探偵日記


2023・06・07 水曜日 ☀




昨日一日休んだため今日は忙しい。早めに事務所に来て案件を処理する。先月より着手していた不倫調査、依頼人の希望する(否、本心はそれでよかったとも言えるが)結果が出ず、結果として無駄なお金を使わせてしまったかもしれない。ただ、これは探偵の責任ではない。マルヒが、少なくともこの間、浮気をしなかったのであり、依頼人は(ああ、私の思い過ごしだったかな~)と、思っていただかなくてはならないのだが、そう世の中上手く運ばない。まさか、探偵がごまかしている。とは思わないだろうが、(たまたま調査のタイミングが悪かった)と考え、マルヒに対する不信感は払しょくされない。そして、さらに調査を行おうとする。この場合、気分を変えて他の探偵事務所に依頼する人もいるが、すでに信頼関係のある当事務所に再依頼することが多い。しかし、僕は多分引き受けないだろうと思う。なぜならば、調査員の報告を聞いた僕の勘で、マルヒは「現在、不倫はしていない」と思うからである。本件依頼人が初めて事務所に訪れ面談した時、冒頭、大変失礼ですが。と断って(奥様はもう更年期障害の時期は過ぎましたか)と聞いた。依頼人はエッといったお顔をなさったが、「ハイ」と答えた。中年の女性は殆どの人がこの時期を経験するが、重い人は心を病む場合もある。夫のちょっとした仕草で、(あれッ変だな)と思ったところから次々と疑念が膨らむのである。その結果「夫は確実に浮気している」という思いに到達し、深い懊悩の世界に入り込んでしまう。まあ、僕は心理学者でもなくドクターでもないので間違っているかもしれないが・・・・・