探偵日記


2025・08・18 月曜日 ☀




10時事務所着。今日も猛暑日、すでに34度ある。墓の下はさぞかし暑いだろうなあ、と、人一倍暑がりだった亡妻に思いを馳せる。俺はそんなに愛妻家だったかな?否、暴力亭主とかぐうたら夫ではなかったが、その他の悪さは人一倍した。それ故に、娘には「一切面倒は見ません」と絶縁宣告された。    僕は、出会う人に職業のことを聞かれると、いつも「毎日テレビのドラマを見ているような仕事です」と応える。まさにその通りで「事実は小説より奇なり」の場面に出くわすことは再三。もう随分前の案件だったが、或るご婦人から電話で「調査の依頼をしたい」と、田園調布の豪邸に呼ばれた。ご依頼人曰く「今日夫に別れ話をするけど、多分暴力を振るわれるだろう。だから、あなたは別室に待機してて、私が悲鳴を上げたらすぐに現れてくれ」という、なんとも良く分からない依頼だったが、ちょうど事務所も閑古鳥が鳴いてる状況だったので二つ返事で引き受けた。くだんの亭主はご養子で妻の実家が経営する会社の代表をつとめているらしい。ご依頼人の言葉に依れば、これまで声を荒げたことも無い穏やかな男だという。ではなぜ?                                  やがて夫がご帰還あそばした。するとまもなく、絹を裂くような(きゃあ助けて)という悲鳴が聞こえ、僕はすぐに部屋に飛び込んだ、そして、その場面を見て呆然とした・・・・