探偵日記

11月 20

探偵日記 11月20日月曜日 晴れ

今朝は本当に寒かった。シャワーをするとき、ヒーターをつけて温まったころから始めるのだが、充分時間はたっているのにまだ寒い感じだった。冬物のコートを着て家を出る。地元の阿佐ヶ谷では「肩を丸めて歩かないように」何時も見張り番から注意されている。駅に着いた時、見張り番の飲み仲間で、少し前まで佐賀大の教授だった人と会い、軽く挨拶して別れる。彼は「こんにちわ」と言い、僕は(お早うございます)と返す。
昨日のコンペ「サンサン会」一時はトップになったが、ロングの7番ホールでつまらないミスをして優勝から遠のく。ただ、クラブハウスで昔の遊び仲間と思わぬ再開をした。当時彼は某大手企業の営業部長、歌舞伎町を走り回った挙句、一緒に韓国旅行もした仲。勿論ゴルフも良くやった。ちょうど僕の後ろの組だったので朝一番のショットは緊張したが、ナイスショットだった。再会を約束した。

探偵 4-7

調査員の報告によれば、マルヒは財務省を出ると地下鉄日比谷線で「中目黒」までまっすぐ帰り、徒歩10分ぐらいのところにある官舎に帰ったとの由。帰宅した部屋のネームプレートや、届いている郵便物などから分かった名前は、マルヒが依頼人に教えていたものとは全く異なる名前だった。例えば、「鈴木一郎」と「山田太郎」ほどの違いだった。さらに調査を進めた結果、既婚者であること、卒業したのは東大法科で、年齢も3歳さばを読み、誕生日も異なり、すべて嘘だったのだ。某日、官舎で張り込んでいると、マルヒが妻と二人の女児を連れて出てきた。調査員は妻を見て仰天したという。(所長にも見せたかったですよ。松嶋菜々子そっくりで、子供も母親にの可愛い女の子でした)実際、僕もそれらの写真を見て(勝負にならないな)と思った。まあ、男という動物はどんなにいい女を女房にしても、ものの2~年もすれば飽きて他の女性に目移りするものだと思う。ただ、ほとんどの亭主たちは、当面の衝動を理性で抑え込むものである。

調査を終え、報告のため依頼人の指定するホテルのロビーで会った。その都度中間報告はしていたので、報告書は家族の写真が張り付けてあるものだけ見せて口頭で説明した。依頼人はエ~と大げさに驚いていたが、心の整理はつけて来たようで取り乱すようなことはなかった。僕が(酷い奴だね、こんな男が国の根幹ともいえる省庁に居るなんて許せない。なんだったら少し懲らしめてやりましょうか)と言うと、依頼人はにっこりほほえんで「いいえ結構です。金持ち喧嘩せずっていうから」とのたもうた。この間依頼人から少しづつ聞かされていたのだが、彼女は郷里に膨大な資産を持ち、今住んでいるマンションも1棟すべて所有しているほどで、(大金持ち)なのだ。その後ぽつりと一言付け加えた「お金を取られたわけじゃあないし」と。僕はそんな依頼人をじっと見つめ(でも貴女は心を盗まれたでしょう)と言ってやった。---

探偵日記

11月 17

探偵日記 11月17日金曜日 晴れ

穏やかな秋晴れだが少し寒い。冬物のコートに厚手のマフラーをして家を出る。電車に乗っても僕が一番着込んでいるようで少々恥ずかしい。
昨夜8時半に訪れた依頼人は四十路を少し過ぎたキャリアウーマン。けっして美人ではないが知的な目をした素敵な人だった。相談の内容は自分のことではなく、友人のことを心配してのものだったので、僕は(仕事にはならないな)と察したが知人の紹介でもあり丁寧に接したつもりである。1時間余りで面談が終わり、阿佐ヶ谷に帰って軽く飲んで帰宅した。

結婚 4-6

依頼人と別れたマルヒは、友人らしき男性とアルタ裏のバーに行き、もう最終が無くなった頃に出てきた。調査員らは(タクシーで帰るのかな)と思った。すでに靖国通りに尾行用の車両も待機させてあり、タクシーに乗ってくれればその方が有難いようなものだ。例えば、最終に飛び乗って私鉄沿線の郊外の駅に行かれ、駅前のタクシーに乗られたりすると厄介である。ところが、友人と別れたマルヒは歌舞伎町の漫画喫茶に入ったという。勿論、調査員らは徹夜になった。
翌朝、さほど疲れた様子も無く、漫画喫茶から出てきたマルヒは、なんと霞が関の財務省に出勤した。
またしても長い張り込みを余儀なくされた調査員は、交代で仮眠を取ったり腹ごしらえをしながら正門と建物の左右に通用口を監視。午後9時、やっと出てきたマルヒは、この日は何処にも寄らず、目黒区東山にある官舎に真っ直ぐ帰宅した。途中、経過を知りたくて電話してきた依頼人に、勤務先を告げると「え、商社じゃあないんですか」と驚いている。マルヒは自分の職業について、なんとなくそれっぽい話をしていたらしい。-----------

探偵日記

11月 16

探偵日記 11月16日木曜日 晴れ

寒い。元来弱虫の僕は雨や風が嫌いだが、寒さにも弱い。体もそれを良く知っており、この頃から寒冷ジンマシンが出来始める。面白いことに、寒さが強くなるにつれて徐々に上に上がってくる。今は足首だけだが最終的には太ももまでかゆくなる。だから今朝も、シャワーの後念入りに補水液を塗った。亡くなった叔母が言っていた「あんたの父親はしょっちゅう足を掻いていた」と。DNAは嘘をつかない。10時過ぎに事務所に着く。今日は、20時半ご依頼人が来所の予定。麻雀は19時半にはやめなければならない。ちゃらんぽらんでいい加減な性格だが、決して仕事は疎かにしない。

結婚 4-5

前にも書いたが、僕の事務所の(報酬規定)によると、結婚調査は基本料金500,000円。これに公簿取得費用や、場合によっては旅費交通費、宿泊費、レンタカー代などがかかる。決して安くはないが、手間暇がかかるうえ個人情報保護法のせいでこの種の調査は非常に困難になっている。しかし、若い人には負担が大きいので、表現はおかしいが情報の切り売りをしようと思っている。例えば、結婚相談所や婚活パーティで知り合い、結婚を前提に交際が始まった相手のことをもっと知りたい、或いは、確認しておきたい。といった場合、住所の確認30,000円、勤務先の確認50,000円から80,000円(勤務先の確認の場合1日の尾行調査を必要とする)また、相手が言っていることの真贋を確認したいこともあるだろう。その場合、30,000円~50,000円で引き受ける。断わっておくが、むやみに相手を疑え。と言っているのではなく、将来の幸せのための保険をかけておいてください。というほどの意味である。

大学講師の女性の件に戻る。3日後、依頼人は新宿で彼と会うことになった。時間は19時、場所は伊勢丹の前のビルの5階ににあるちょっと高級な居酒屋。僕も良く知っている店で明治通りに面している。バス停もあって張り込みにはさほど難しくない現場といえた。僕は調査員3名とともに現場に行き、まず依頼人を確認させた。(あの女性と出てくる男の住所確認だ)と指示し、依頼人から聞いた男性の特徴を説明した。依頼人はビルに入る際、周囲を見回していた。僕を探しているのだろう。僕は、メールで(現場についております。こちらのことは余り気になさらず楽しんでください)と知らせておいた。ほどなく、当該人物と思われる男性が連れの男とともにビルに入りエレベーターに乗った。なかなかいい男である。背はそんなに高くないがバランスのとれた体格で、サラリーマンならもう管理職だろう。
21時45分、依頼人とともに4人の男女が何やら楽しそうに語らいながら出てきた。僕は、(じゃあ頼むよ)調査員らに告げて現場を離れた。後で聞くと、この日の尾行は大変だったようだ。------------

探偵日記

11月 15

探偵日記 11月15日水曜日 晴れ

昨日に続き、今日も女子医大に行く。この日は、定期検査で、別院の「膠原病リュウマチ痛風センター」8時半からたっぷり3時間かかった。そのうち、診察時間は5分余り、すべて終わって会計するのに45分待たされ少しいらっとする。今日で2回目の担当医に(食欲はあるのに4~5か月で5キロ痩せたけど)と聞くと「僕は専門外だから分かりません。大学病院は他の科のことはやってはいけない」と、無碍なく断られた。初めて会った時から合わないな。と思っていたが印象通りだった。女子医大ではこれまで数人担当医が代わったがこんなことはなかった。或る医者の時、栃木のゴルフ場で倒れ、翌月曜日その担当医に状況をFAXしたら「すぐ来い」とのこと。僕自身も気持ち悪かったので急いで駆け付けると、血液内科に話をつけていてくれて、MRIの検査もやってくれた。結果は、(単なる貧血)ということだったが、やっぱり、医者と弁護士は仲良くしておくべきだ。と痛感したことを思い出した。

結婚 4-4

(それで、貴女は彼のどんなことを知っているの?)と聞くと、氏名、出身校、年齢、だけだという。(住所は?)(お仕事は、勤務先などは?)と聞くと、「分かりません」との由。数ケ月交際して、結婚しようとしている男性の職業も知らないなんて、僕は唖然としたが、今目の前に、幸せそうな顔で座っている人に、(貴女は騙されているんだよ)とはとても言えなかった。さらに、(住所ぐらい聞けないの)と言うと、もじもじするばかり。それでは、まずその人の住所を確認しましょう。と言って、ちかじか会う予定はありますかと聞くと、3日後に、「私の同僚で結婚したがっている人と彼の友人を交えて食事することになっている」と言う。では、その後尾行してまず住所を確認して、本格的な調査に入りましょう。ということになった。
男性の名前は構呂木三郎、出身校は慶應義塾大学で、テニスの選手だったらしい。生まれは九州、大阪で成長したように聞かされていたようだ。しかし、僕はその時、まさか全てが嘘だとは思わなかった。「日曜日に仙台まで会いに来てくれたし、家庭のある人が休日にそんなこと出来ないでしょう?」「私は念のために調査をするのであって、彼が私に嘘を居ているとは思えません。」依頼人は、首をかしげるばかりの僕を非難するような目で見つめた。----------

探偵日記

11月 13

探偵日記 11月13日月曜日 晴れ

金曜日、我が家の猫「りぼん」の葬儀で1日を費やし、土日も事務所に来なかったので久しぶりのブログ。今日から始まる大阪での調査のため調査員数名が出張。
僕は明日明後日と女子医大で検査。明日はほぼ1日中かかる模様。

結婚 4-3

我が探偵事務所、(株)ティー・ディー・エー(新宿区新宿一丁目)では、結婚調査に特化した部門を設置、「結婚」を希望する人たちのために、(依頼しやすい)モデルケースを作ることにした。依頼しやすい。ということはすなわち調査料をリーズナブルにするということで、若い人たちも(まあ、このくらいなら)と思ってもらえるような料金設定をしようと考えている。最近はバツイチになることにあまり抵抗が無いのかもしれないが、出来るならば結婚は一度で終えたいものである。昔は、二夫にまじえず。なんて言葉もあったぐらいで、結婚をした女性は、仮に夫に先立たれようと再婚はしない。なんて教育を受けた。だから戦争未亡人が多勢存在したものである。しかし「別れたら次の人」なんていう歌が流行る時代には超ナンセンスな教えだろう。とはいっても失敗はしたくない。人のために探偵事務所として、ささやかなお手伝いが出来ればと思うのだ。

むかしこんな調査依頼があった。依頼人は有名私大の女性講師。当事務所のホームページを見たと言って突然訪れた。最初は職業も聞いていなかったが、僕はひと目見て、知性と教養の高さを感じた。僕が(どんなご相談ですか)と切り出すと、彼女はとても幸せそうな顔をほころばせて、「結婚をしたいと思っている人が居るのですが、その人の、何て言うかあの~人となりを」とおっしゃる。そんな女性をながめて僕は、その男性との結婚は既成の事実で、もう後戻りできないところまで来ているのだろう、し、破談するつもりもないのだろうと判断した。ではなぜ?----------