探偵日記

12月 02

探偵日記 12月02日金曜日 晴れ

昨日、携帯をスマホからアイホンとやらに変えてみた。いわゆる機種変である。前のがちょうど2年経っており、ポイントも4万円以上付いていた。とにかく新しいもの好きの性分は健在だ。しかし、今まで重宝していたLAINが消えて大いに困った。最初、担当者に(今までと使い勝手が大きく変わることはありませんか)と聞いたのに、「同じです。」と即答し、LAINは使えなくなるなんて一言も言わなかったし、総てにおいて違う。まあ基本的には同じようなものだろう。と高をくくっていたが、慣れるまでひと苦労しそうだ。その後、ビックカメラに行って、フイルムを貼ってもらいケースも買った。(笑)

ロマンチックな恋の結末 18

優雅に微笑む女性。大学で女子学生たちから(変なジジイ)と陰口をたたかれるほど朴念仁の教授は、まさか未知の町で、女性、しかも妙齢のすこぶる美しい人から声をかけられるなんて夢にも思わない。どう対応すればよいのか分からないまま、そこは年の功で、落ち着きのある中年紳士然とした感じで、(あのう、どこかでお会いしましたか)と応じた。女性曰く「先ほど駅前の喫茶店にいらっしゃって一杯でお入りになれなかったでしょう。わたくしあのお店に居りましたの。それでまたここでお目にかかったのでついお声をかけました。ご迷惑でしたか。」少し訛はあるものの標準語に近い綺麗な言葉で返され、次の言葉が見つからないまま(ああそうでしたか)と言うのがやっとだった。

人の縁、とりわけ男女の出会いなど、俗に(合縁奇縁)というが、二人の馴れ初めはほんのちょっとした女性の気まぐれみたいなひと言から始まった。そのあと、自然な感じで「わたくしそちらに移って宜しいかしら」と言われた教授は、どぎまぎしながらも(ああどうぞ)と言ってしまった。会話が弾み、お互い旅行者であることが分かって、しかも、女性は「今夜秋田市内のUホテルに泊まる予定ですの」と、教授が予約しているホテルの名前を告げた。実は僕も。と、思いがけない偶然に大いに盛り上がったのである。

ここまでいけば、じゃあ。と言って別れる男女はいないだろう。喫茶店を出た二人は、昔からの馴染みのごとく、誰が見ても同伴の旅行者に思えるほどの雰囲気をまとい在来線に乗った。-----------

探偵日記

12月 01

探偵日記 12月01日木曜日 雨のち晴れ

最近タイちゃんの調子が良くない。今朝も僕を起こしたのは6時前、外に出ると本降りの雨だった。例によって高架下へ行くがとぼとぼと歩き、小一時間たってもウンチをせず、帰りたがる。ところが家に入るとご飯に飛びついたので少し安心する。9時、家を出て地方からのご依頼人と待ち合わせをしている帝国ホテルへ。11時半、事務所に戻る。タイちゃんだけじゃあなく僕も熱っぽく何となく怠い。なにしろ、僕たちは同い年だから。

ロマンチックな恋の結末 17

方々に武家屋敷はあるが、角館のそれは全く印象を異にする。例えば、山口県の萩など下級武士らが住んでいたと思われる長屋で、塀は子供でも飛び越えられるぐらい低く、(大丈夫かな)と、思うぐらい不用心である。ところが、角館は家老職以下、要職についていた者たちの屋敷群でかなり見ごたえがある。砂利道の両側に鎮座する家々はみな豪壮で堅固であった。教授は一通り見物した後、秋田市内のホテルに戻るため駅に向かった。喉が渇いたので冷たいものでも。と思って、喫茶店を探す。先刻、一杯です。と言って断られた店を避けて、駅から少し離れた店に行くと、幸い座れる余裕があった。やれやれと思いながら隅の席に着き(コーヒー)を注文した。

朝早く出たし、良く歩いたので少々くたびれたかな。などと考えながら運ばれてきたコーヒーをブラックで飲み、先ほど見物した屋敷のその時代の情景を想像し、角館の昔に思いを馳せていると、思いがけず、横の席座っている婦人に声をかけられた。「あの~先ほど駅前の喫茶店で入れなかった方ですよね。」最初はまさか自分に向けたものとは思わなかったが、声のほうをに顔を向けると、年のころは40代後半と思われる美しい女性が微笑んでいた。------

探偵日記

11月 28

探偵日記 11月28日月曜日 晴れ

今日からまたタイちゃんの散歩を、月~木と義務付けられる。5時半、眠い目をこすりながら外に出る。路面は濡れたまま。それでも駅から商店街を1時間15分歩いた。8時、朝食。10時に家を出て事務所へ。
調査員から報告を聞く。ちょっと難しいかな~と思っていた案件がいい形で終えたとのことひと安心する。

ロマンチックな恋の結末 16

新幹線で秋田まで行き、在来線で数駅戻って、午後早めに角館に到着。微風快晴絶好の行楽日和、駅前は地方に良く見られる風情で、ロータリーには観光名所に向かうバスの発着所が数か所見られた。朝、新幹線に乗る前、サンドイッチとコーヒーで軽く済ませたので小腹が空いた。今夜は秋田市内のホテルを取ってあるのでゆっくり食事ができる。日々の生活の中で、通勤の途中寄り道もせず、ましてや女性のいる飲食店など入ったこともない。趣味は研究と食事。でも食事といっても決して美食家ではない。ただ、沢山食べて満腹感が味わえればそれでいい。だから、夜ホテルでどんなものが出てくるか大いに楽しみである。見回すと、ロータリーの向こうに小洒落た喫茶店が見えた。あそこでスパゲティでも食べよう。と思って、その店に向かった。

なにしろ角館といえば、県内はもとより遠く東京からも大勢の花見客が訪れる桜の名所だ。この日も街中はそれらの人たちで溢れている。特にご婦人が多いのに驚いた。まあ、GWが終わった平日である。男どもは職場に復帰したであろう。暇を持て余すのは高齢者、それも女性たちが圧倒的に多いという現実を、起きている時間のすべてを宇宙に囚われているような人間は知る由もない。やがて目当ての喫茶店にたどり着き、おもむろにドアを開けてまた驚く。店員の「すみません満席です」と言う声を聞くまでもなく、立錐の余地もない情景を目の当たりにして、すごすごと外に出た。食べれないと分かると余計に空腹を感じ、仕方なくコンビニ弁当で済ませ武家屋敷に向かった。----------

探偵日記

11月 24

探偵日記 11月24日木曜日 雪

早朝5時、タイちゃんを連れて外に出ると本格的な雨。気温も低く予報通り雪に変わるだろう。30分ちょっとで帰宅。次に目が覚めた時は案の定大粒の雪が隣家の屋根に積もっていた。支度に手間取って10時半家を出て11時に事務所へ。今日はこの後、報告が1件あって、2時半、依頼人と面談の予定。夜は銀座。

ロマンチックな恋の結末 15

十数年前、本郷にある勤務先に籍を置いたまま、某私大の客員教授となって、時間の余裕は出来たものの、何となく張り合いを無くしたような日々が続き、5月上旬の或る日、数日の休暇を取って小旅行に出かけた。思えば、26歳で大学院を終え、そのまま母校の研究室に残り、四半世紀を過ごしたことになる。その間、美しい妻を娶り1男1女の子ももうけた。自宅は、父の残してくれたものだが、人も羨む田園調布の一等地にあり、決して華美ではないが、敷地の広さのせいで辺りでも目立つ。しかし、どこでもそのようだが、子供たちは好き勝手に生きており、父親の意見などどこ吹く風の態。妻も、よそ様の奥方と違って着飾って出歩くようなこともない代わりに、夫の所作にいちいち文句をつけ、口答えすれば1か月でも2か月でも会話が途絶える始末。日々のことは妻にしかわからないことが多く、不本意ではあるが折れざるを得ない。大学での行く末も見えてきた。鬱々とした毎日だった。

漠然と旅に出よう。と、思い、何となく(そうだ角館に行こう)と思い立ち、GWが終わった5月7日車窓の人となった。この気まぐれの小旅行が、自他とも認める「朴念仁」の教授の生き様が大きく変わることになろうとは。-------

探偵日記

11月 22

探偵日記 11月22日火曜日 晴れ

朝4時50分、タイちゃんが(ワン)と一声吠える。少し前から目が覚めていた僕は、毎度のことながら、やれやれと思いながら起きる。長い廊下を歩き(うそ、5歩で行ける)隣の部屋を開ける。5時、外は雨。傘をさして高架下へ。25分で散歩終了。手を洗ったり水を飲んだ後ベッドにもぐりこんだ途端グラっときた。少し大きいなと思ったら震度3という。いっそのこと15ぐらいのやつが来ればさっぱりするか。
11時、事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 14

女性がしきりに昨夜来れなかったことの言い訳をし謝っている。マルヒは「ああそう。それは大変だったね。さあさあシャワー浴びていらっしゃい」と急かし、女性は浴室に入ったらしい。間もなくテレビの音に混じってシャワーの音も聞こえた。女性がマルヒに話した内容によると、夫の状態が悪くなり出るに出れなかった。と言う。これで、女性に夫が居ること、その夫は長く患っていること。などが推測された。夫が家に居れば泊まることは無いだろう。Oがホテルの駐車場に行くと、新たに、いかにも女性が乗りそうな秋田ナンバーの軽自動車が駐車されていた。この後、隣室で繰り広げられる痴態をテープに収め、女性の帰宅を確認すれば調査の9割は終了する。

シャワーを終えた女性を迎え戦闘開始。ベッドのきしむ音に加え二人の睦言に続いて喘ぎ声が入る。ほとんどの人が男女のSEXをじかに見ることは無いだろうし、よほど変態のマニアでない限り声を聞くこともないだろう。その点、探偵はこんな役得がある。3人は神妙な面持ちで聞き入った。----------------