取り込み詐欺 4

探偵日記 10月24日木曜日雨

アベック台風が日本に接近しているとか、今度の日曜日のゴルフが心配だ。今朝、起きて朝食を食べた後、何だかけだるいのでベッドで横になったら11時ごろまで寝てしまった。体の調子が悪いのではなく、たんに怠惰なだけだと思う。70歳という年令は僕みたいな行動的な人間を、ここまでだめにするのかと驚く。まだ40代の頃、あるヤクザが「福田さんは、初めて会った時、精悍な印象だった」なんて言っていたが、自分でも男の覇気は十分有ったと思う。その後、口の上手いホステスらに、「男の色気がある」とか言っておだてられ、最近は(優しそうなおじいさん)に変化した。

昨夜、帰宅したら故郷の同級生から郵便物が届いていた。手紙だけでなく何やら硬いものが入っている。少々酔っていたので明朝見ることにして、朝ごはんの時開けてみると、昨年末、プロ歌手デビューした同級生の第二弾のCDが入っていた。「黒木友一」(本名は黒木友機69歳)デビュー曲は(男の十字路)なかなか良い歌で、関東地方のカラオケスナックにも配信されている。彼は、高校卒業後、大阪の証券会社に勤務したあと、早期退職して故郷にUターン。漁師の真似事をしながら歌の勉強をしていたという。(小さな体と大きな夢とかばん一つで夜汽車に乗った・・・)こんな唄いだしで始まるデビュー曲は、当時、就職のため夜行列車で下関駅を発った者には切なく聞けるだろう。古希(数え年で)でのプロデビューも大したものだ。皆さんも歌ってください。

取り込み詐欺 4

こういう会社にとってタイムリミットの設定が重要に成ってくる。というのも、発行する手形の期日の直前に姿をくらまさなければ成らないからである。例えば、手形の決済日を12月20日にしたなら、19日には事務所をもぬけの殻にして、関係者全員隠遁する必要がある。しかし、中には犬鳴探偵事務所に依頼して秘かに調査を進めている企業もあれば、ちょっと出来のいい営業マンが、(どうも変だ)と感じて自分なりに調べたりするケースもある。過去の調査でも、犬鳴探偵事務所の調査員が詐欺グループの一人を尾行しようとしたら、その間に割り込んで追尾するサラリーマン風の男を認め、その日の尾行を中止したことも有った。しかし、所詮は素人探偵のやることで、確実な追求には至らないケースがほとんどである。

犬鳴は、法人登記簿上の代表は傀儡であると思っているので、グループの中心人物を見極めAという男をターゲットにして調査を進めた。しかし、途中で明らかに水商売の女性と分る若い女と合流し、多分その女性の住まいだろう場所に帰った。彼らは、いざという時に足跡を残さないように常時注意を怠らない生活をしているらしい。一方、訴えを受けた警察もこの種の事件は乗り気ではない。あくまで通常の商取引であるとして、たんに、支払いが出来なくなったから体をかわしているのだろう。資金の目途がついたら出てくるかもしれない。或いは、弁護士が登場し債務整理に入るかも知れず、折角(検挙)しても示談されたら今までの苦労が水の泡となる。

犬鳴の住む町で未公開株の詐欺事件があった。ある時、ある主婦から「必ず上がるからって言われ100万円出そうと思うんだけど大丈夫かしら」と相談された。犬鳴は、その話を持ちかけた男性のことも知っていたので、返事に苦慮したが、(100パーセントその100万円は返ってこないと思う)と言い、止めるよう説得したが、結局その主婦は引っかかってしまった。後日、「どうしたらいい?」と相談されたが、相談してくるほうも礼儀知らずだ。(警察に行ったら)と言うと、翌日、所轄に行ったらしい。結果は、本人に電話をかけ、(こういう相談が入っているんだけど)と言い、本人が「大丈夫です必ず解決しましから」と応え、一件落着である。(この世の中、うまい話はありません)-----------