探偵日記 10月25日金曜日 雨
昨日、難しい案件が解決した。正直なところ手こずるかな、と思っていたので、10日で結果を出せてホッとしている。調査は、或る日突然姿をくらませた会社社長の「所在調査」その会社は西新宿の高層ビルに本社のあるＩＴ関連で、昨今急成長を遂げ、上場も果たしたばかり。昔と違って、最近は上場も簡単だが消えてゆくのも早い。社長は一サラリーマンから昇進した人で、社長職の重みに耐えかねたのかもしれない。というのが周囲の評価だった。犬鳴探偵事務所の調査員は、彼の出身地北海道まで飛んで聞き込み等をお行ったが、郷里に帰っている気配は無かった。
では何故解決したかというと、これは企業秘密であるから詳しくかけないが、犬鳴事務所の得意のノーハウで隠遁先のマンションを発見した。本来真面目な人物だったようで、ガスや電気、水道等の契約を本人名義でやっていた。（頭隠して尻隠さず）誰か友人の名前で借りていたならもう少し時間がかかったかもしれない。ラッキーだった。
臭いものには蓋をする。嫌な事からは逃げる。面倒な場面は見て見ぬ振りをする。犬鳴の最も得意な生き方だが、それで解決した事案は一件も無い。逃げずに正面から体当たりするほうが後味が良く、達成感や安堵感を味合える。まあ、この年になって言える台詞ではあるが。