探偵日記 11月04日月曜日(振り替え休日)雨のち曇り
世の中三連休。探偵は仕事が無ければ毎日が休日。日曜日の3日、ゆっくり休もうと思っていたら、妻が「車で出る時お味噌買ってきて、あ、それからネコのトイレの砂も」と言う。どうせ家でゴロゴロ出来ないタイプなので、それじゃあ、というわけで車で出掛ける。伊勢丹の駐車場は長い車の列。仕方なくコインパーキングに停めて伊勢丹のB1へ。味噌売り場も、果物売り場も顔馴染み。ある時、味噌売り場のおばさん(といっても僕より少し若いかな)に、(ねえ、亭主に味噌買って来いっていう女房ってどう思う)と聞いてみたら「すぐ別れた方がいい」なんて言う訳無いか。正解は、苦笑しながら「いいんじゃあないんですか」だって。聞くほうが間違っている。味噌、グレープフルーツ、梅干、など買い物を済ませて雀荘へ。
今日は普通に起きて8時に朝食。何だかんだと理由をつけて外出。まず事務所に着てブログの更新。その後は、(野暮なことを聞いてくれるな)-------
逃亡 3
何時ものように麻雀を終えて歌舞伎町のクラブで飲んでいると、調査員のUから電話がかかってきた。「住所が分りました」と言う。やはりマルヒは真面目な会社人間だった。調査員が在京の友人を一人ひとり内偵していたら、ある人物の住むマンションで、メールボックスにチラシに紛れてマルヒから届いた封書が入っており、そこに、ご丁寧に移転先の住所がかいてあったらしい。まさに、たなぼたのような情報が入手できた。
早速翌日からマルヒが住んでいるマンションで張り込みを開始。まもなくUから第一報が入り「マルヒの名前でソフトバンクから請求書が着ています」と言う。普通に考えるとそのマンションの部屋がマルヒの新しい住まい。だろう。犬鳴は、(じゃあそれでいい)と言って、張り込みを解き、事務所に帰って報告書をまとめておいてくれ)と指示した。通常、この種の調査は、報告書は余り必要としない。口頭で(○×に居ます)と伝えれば済む話で、場合によって、依頼人と一緒に本人確認することもある。しかし本件は歴とした上場会社からの依頼である。支出した経費に対する裏付けが必要であろう。依頼先からしてみれば微々たる支払いであろうが、経理担当者にしてみれば、例えば、税務調査などで係官から、「この支払いは何のためですか」と質問された時、成果品として小社の報告書を示せば事足りる。犬鳴探偵事務所は、所在調査の報告書としては異例の50数ページの報告書を作成した。
報告を済ませた翌日依頼先の会社から成功報酬の振込みがあった。(随分早いな)と思ったが「月末締めの翌々月支払いです」と言われるより有り難い。犬鳴は子会社の担当者にショートメールでお礼の挨拶をして一件落着した。と思っていたが、その後、この調査は意外な報告に発展した。-----------(了)