探偵日記 11月07日金曜日 晴れ
昨夜は夜になって現場を回ったので帰宅は0時過ぎになった。朝4時半、タイちゃんが起きてきた気配がするがベッドから起き上がれない。50分、外に出る。今日は定期検査の日、シャワーをして9時きっかりにクリニックへ。待合室にはもう7~8人の患者が座っている。1時間後帰宅して朝食を食べる。そのまますぐに出掛けようと思ったが、誘惑に負けてまたベッドへ。午後事務所に行く。今夜は尾行の仕事が重なって、老コナンも出番がありそうだ。
娼婦 8
佳枝は、いかにもこんな所に慣れていない様子の客を見て嬉しくなった。中には遊びなれてて、色々注文をつけたり、佳枝のこともあれこれ聞いてくる客がいた。風俗店に勤務して売春をしているんだからおおよその境遇は察しがつくだろうに。と腹立たしくなるが、年の功で適当に受け流す術も身についた。しかし、今日の若い客は本当に何も分らず来たようで、何となくからかってみたくなった。ただ、客の知りたいのは料金システムだろうと思いなおし、90分で18,000円、120分で25,000円・・等と説明をする。客はその後、「してはいけないことってありますか」と聞いてきた。佳枝はアレッと思った。こんなことを聞くって事はまんざら知らぬわけでもなく初めてではなさそうだ。中には、(本番は絶対させない)店も有るように聞いている。しかし、佳枝の勤めている店は、いわゆる、人妻クラブをうたい文句にしているぐらいだから、最後までオッケーであった。それでも佳枝は(あの~ぶったりするのは禁止です)と言い、その他、佳枝自身がされて嫌なことを付け加えた。
客は、ぶったりしてはいけない。と言ったとき、あははと笑い、「僕は至ってノーマルです」と応じた。そんなやりとりがあって、もう30分ぐらい経過したにも拘らず客は背広を脱ごうとしない。一応、時間は3時間で。と決まり40,000円を払っている。否、実際には、「これチップ」と言い、10,000円多くもらっていた。時は、どこか外国の証券会社が倒産したとかで、日本の経済も底をついていた。こんな不景気な時に、50,000円もぽんと出せる人はそんなにいない。ホテルの部屋もこのホテルの最上級で20,000円近く払っているはずである。佳枝は、(もしかしたら私にとって星の王子様かもしれない)と思い一人ほくそ笑んだ。やがて1時間経過した頃になってようやく寝巻きに着替え、佳枝も簡単にシャワーを使って、客の横にすべり込んだが、客は棒の様に真っ直ぐ寝て身じろぎもしない。佳枝は客の腕の付け根の辺りに顔を持って行き、自分としては(さあ始めましょう)と催促したつもりなのに、客はびくっと体を震わせてじっとしている。--------