探偵日記

探偵日記 5月8日金曜日 晴れ

気持ちのいい朝だった。ゴルフにとっても最高のシーズンを迎え、今月は、山口で3回、このあと、10日月例、13日二水会、17日サンサン会、27日知人の会社のコンペに参加する予定だから計7回プレーすることになる。山口オープン(4月29日にもプレーした)の平均スコアは88。しかし、この数字では月例の優勝は微妙である。
今日は確か知人の誕生日のはずである。最近は連絡も途絶えているが逞しい人だから元気にやっているだろう。陰ながら(おめでとう)

Mという女 12

若社長の定宿は判っている。調査員は、その高級ホテルのロビーや正面玄関などに分れて張り込み体制を敷いた。ほどなく、マルヒの若社長を確認。ついでに、寄り添って行動を共にする女性も捕捉した。犬鳴は、調査員からの報告を受け、二人を見てみたいと思いホテルに赴く。ロビー横のラウンジで遅い朝食を摂っているマルヒと女性を観察できたのは20分後だった。マルヒは服装や髪型などいかにも真面目なサラリーマンといった印象だったが、女性は、一目見て、明らかに風俗嬢ということが判った。かなり年上だろう。華やいだ服を纏いけばけばしい化粧をした女性は、どう贔屓目に見ても40歳はゆうに超えている年齢に見えた。単に風俗店で体を売って稼ぐホステスというよりは、それらを取り仕切る(やり手婆ァ)というのが探偵犬鳴吾朗の第一印象であった。

それからの1週間、二人はほとんど外に出ることなくホテル内で過ごし、夜8時以降は部屋に入ったきりである。稀にルームサービスで食べ物の他ワインなどが運び込まれた。調査の結果としては、田舎者の若社長が東京で水商売の女性にひっかかり有頂天になっている。だけの他愛ないものに思えたが、6日目、若社長に見送られホテルを出てきた女性を尾行したことから、さらに新しい展開を迎えることになった。--------------