探偵日記

探偵日記 04月11日土曜日 晴

何時ものように07時に起きて朝食をいただき9時過ぎにゴルフの練習に行く。1時間限定と言われ、そのあと花小金井に聞込みに行く。いわゆる所在調査だが、公簿上、現住所がそうなっているが未だ本人を確認できていない。一度でもマルヒの姿を見れれば自信を持って(ここに居ます)と報告できるのである。花小金井駅前の中華そばやでつけ麺を食べ新宿へ。勿論あそこ(笑)
夕方5時、自宅のある駅に戻って早めの夕食。パスタとビール1本、赤ワイン2杯飲んで帰宅。なんと、7時前にもう寝ちゃうのか・・

新宿・犬鳴探偵事務所 4-11

Wはいつも唐突に犬鳴を呼び出し、「ワンちゃんちょっとこいつを調べてくれ」と言って、雑誌の記事とマルヒの写真の載ったものを見せる。あるときは政治家であり、またある時は、我が国を代表するほどの大企業のトップ。犬鳴が逆立ちしてもお目にかかれないような人物ばかりであった。当時の犬鳴は未だ30歳前、探偵としても社会人としても駆け出しである。Wは、「これらの人物のスキャンダルを探せ」と言うのだ。犬鳴が(会長何か根拠があるんですか?)と聞くと、Wはその風貌に似合わない可愛い顔でにっこり笑う。後年、こんなときのW が最も怖いことを知ることになるのだが。Wは、そんなこと知るか。と言うのである。どんな人間でも叩けば埃が出る。犬鳴はWからそのことを教わった。Wは時に、そんな調査で犬鳴に数百万円払う。要するに、無差別にターゲットを決めて徹底的に調べ、弱みが見つかれば良し、仮に何もなくても、競馬の馬券を買うようなもので外れても(ああそうか)で終わるのだろう。しかし、ターゲットのマルヒに現在の地位を失うほどの調査結果が出たら、Wの懐には数年間遊んで暮らせるぐらいの収入となる。今思えば、犬鳴は高等な恐喝の手助けをしていたことになるのだろう。・・・・・・・・・・・・・