探偵日記 01月06日月曜日 晴
今日から毎週月曜日の朝、ゴルフの練習プラス、プロのコーチについてレッスンを受ける。とりあえず4回やってみるつもりだ。まあ、それでどれほどの成果があるのか分からないが、40年以上慣れ親しんだものである。ちょっとのアドバイスで(目から鱗)ということだってあるかもしれない。僕は、自他共に認める(器用貧乏)である。プレー中でも少しのアドバイスで、すぐにそのアドバイスを生かせる。しかし、3歩歩くとすぐに忘れてしまうが(笑)継続は力なり。という言葉もあるが、辛抱強く続けることが苦手で、すぐにポイッと投げ出してしまう。だから、念頭に誓った決意もどこまで続くやら。
今日は18時、新宿のレストランで新年会。5つの事務所の責任者を招いて1年間の協力をお願いし、人間関係を深めようと思っている。
新宿・犬鳴探偵事務所 6
或る日のこと、犬鳴探偵事務所の広告を見たという婦人から、夫の素行調査の依頼を受けた。当時の探偵は、NTTのタウンページ(その昔は職業別電話帳といった)に自社の広告を出し依頼人を待っていた。業者の数も少なく、掲載する広告も概ね控えめなものが多く、1ページ全部を1社で占めるものなどなかったので、名刺大かその倍くらいの大きさのものでも結構効果が見込め、犬鳴のような小さな事務所はこれで十分食っていけた。犬鳴の信条としては、(探偵なんて職業は口コミで依頼を得るもので、誇大広告で営業するなんてもってのほか)だったから、独立した頃は、かって勤務したことのある探偵事務所や、叔父の関係する企業を紹介してもらって糊口を凌いでいた。時代の流れというか、同業者の勧めや、NTTの代理店の営業マンの熱心なアプローチに根負けして、4分の1ページを契約していたのだった。
依頼人の婦人は、その広告を見たという。探偵にとって(浮気)の調査はさほど難しいものではなく、この件も、数日の尾行調査で不倫の証拠を押さえ、さらに、相手の女性の身元調査も終えた。これで1件落着かと思っていたら、依頼人はその後も毎日のように電話で、「今日もお願いします」と言う。犬鳴としては、すでに探偵のハートをくすぐる未知の部分は終わっており、不謹慎ながら、いってみれば面白くもおかしくもない調査である。言い換えれば(達成感)がないのである。自営の夫が夕刻仕事を早めに切り上げ家を出る。「今出ました」と依頼人から知らせてくる。一方、女性班は女性が勤務を終えて会社を出た後を尾行。女性が帰宅。マルヒの夫が女性住むマンションに向かう。子供でも出来るぐらいの安易な調査であった。・・・・・