探偵日記 9月11日金曜日 晴れ
台風一過、ようやく秋晴れの朝を迎えた。台風は低気圧となり、日本列島を北上し、東北地方に大雨を降らせ昨日の栃木県や茨城県と同じような被害をもたらせている。特に、鬼怒川の川下では、行方不明者が25人に上るというから、たかが雨と侮れない。今日は定期検診の日で、駅前のクリニックへ行く。可愛い看護師に「最近のお加減は如何ですか」と聞かれたので、「夏バテかな~だるい」と言うと、食欲はあるか。と言うので、ある。眠れるか。と言うから、良く眠れる。と応える。「じゃあ、夏バテじゃあありませんね」自分では原因が分っているので、曖昧に笑って帰る。正午ごろ事務所へ。
れんげ 46
ひかるは、れんげと入れ替わりに鷲宮家にやってきたメスの柴犬を連れて会場に入った。この犬もまだ成犬になったばかりで、いたずらっ子ぶりは治まっていない。会場に入るや興奮して、犬にも人にも吠えまくり、とても里親を望む状態ではない。顔見知りのポチの家のスタッフに聞くと、まだチビは着いていないと言う。ひかるは、まること名付けた預かり犬を車に戻してれんげを探した。すぐに見つかったれんげは、山本夫人の傍で、夫人にくっつくようにして座っていた。ちょっぴり嫉妬したひかるだったが、それでもにこやかに近寄り、夫人に挨拶したあと「れんげちゃんお久しぶり」と声をかけた。れんげは、一瞬キョトンとしたあと、れんげの頭をなでようとして、しゃがんだひかるのポーチに鼻が触れたとたん、両目を大きく見開き、ちぎれんばかりに尻尾をふって喜びを表わした。それから、山本夫人のほうが嫉妬するぐらいひかるの手をなめた。ーーーーーーーーーーーーーーーーー