探偵日記 04月09日木曜日 晴れのち雨
正午、調査員と打ち合わせのため、伊勢丹本店に行くも休館。仕方なく付近の喫茶店に入る。その後、渋谷の顧問先で担当部長とランチ。簡単に中間報告をして別れる。何しろ、非常時であるマルヒも動かず内容に乏しい報告となった。午後、雀荘へ。(不要不急な外出は避けて)という、国や都の要請もなにするものか、今日も、秩序を守らない不良中年や老人が大勢いてゲームにいそしんでいる。18時、依頼人とご飯を食べて21時帰宅。
新宿・犬鳴探偵事務所 4-9
本当に、N所長はだらしないというか犬鳴に押し付けてあとは知らん顔。犬鳴も少々癪に触って、(所長、とにかく責任者を寄こせってきかないんです)場合によっては賠償請求も辞さないって構えなんですけどどうします。と言ってやった。所長は真っ蒼になり「犬鳴君どうしよう」と言う。これには少々わけがある。犬鳴はこの探偵事務所に採用された時、(何の経験もありません)という触れ込みだった。しかし、日本橋の探偵事務所で少しばかり経験のある所長より、こと(調査)に関しては幅広く知識があり、ちょっとのあいだだったが所長もそのことは見抜いていたようで、複雑な案件について相談を持ち掛けられていた。まあ、彼なりにプライドもあるだろうと思いあからさまには言わなかったけれど、聞かれた範囲で適切に応じていたのだ。青い顔の所長を見て(このくらいでいいか)と思い、汚れ役を引き受けたのだ。その後、3日ばかりサービスで調査を行い、報告書を届けたのだが、Wは、無料でいい。と言ったにもかかわらず「君のことが気に入った」と言って、調査料を払ってくれた。その日から、事務所に関係なく犬鳴に直接依頼してくるようになり、間もなく独立してからは、犬鳴探偵事務所の上客となってくれた。・・・・・