探偵日記 04月08日水曜日 晴
コロナのせいで憂鬱な日が続く。まあ、コロナが原因ではないだろうが最近は麻雀の調子も悪い。僕自身のバイオリズムが下がっているのだろう。じゃあ、時期が時期だから家でじっとしていればいい。と思うのだが、性分でそうもいかない。今日も家の近くでランチして、のこのこ出て行ってひどい目に遭い、18時、阿佐ヶ谷の、こんな時でも空いている居酒屋で晩御飯を食べて帰宅。
昨日、非常事態宣言が出たおかげでGWの帰省も危うくなった。同級生も後輩も帰っておいでというが如何なものか。郷里の山口は感染者が17人にとどまっているが、僕が帰ってから急増したら何と言われるか。
新宿・犬鳴探偵事務所 4-8
ミスと言っても、例えば尾行に失敗したとかではなく、指定された日に人手が足りなくて(まあ、所長が失念していたということもあるのだが)調査を行わなかった次第。それだって、依頼人にしてみたら立腹に値する。犬鳴はともかく、所長は自分の失態であることは十二分に承知していた。翌日、生贄になった格好の犬鳴がWの事務所に赴いた。初めて会ったが、あまりの若さに驚いた。犬鳴より2~3歳上だろうか。まだ30前だがさすがに妙な貫禄はあった。小太りで背も低く一見、さえない田舎のおっちゃんといった感じの男である。ただ、見ようによっては、高名な某右翼団体のドンに似ていた。犬鳴はあれこれ言わず会長の前に行き素直に謝罪した。本来なら責任者が来るべきところを駆け出しの犬鳴が行ったのだから依頼人の怒りが倍増してもおかしくない場面である。しかし、会長は柔和な表情で「まあそういうこともあるだろうね」と言う。ふ~ん、結構大きい人じゃあないか。
犬鳴は、とっさに(会長、費用は要りませんからこの件私に任せていただけませんか)と提案した。犬鳴から見て、自分のところの所長はすっかり逃げ腰になっていた。
「よしわかった。じゃああんたが穴を拭いてくれ」という会長に、それまでの費用を精算してもらい、その後、犬鳴が一人で調査を行い会長が希望する結果を示し一件落着した。
ちゃんと集金して戻った犬鳴に、少し驚いた顔をしたが(ご苦労様でした)の一言ですませた所長は、陰で、元女房の事務のおばさんに(犬鳴は早晩独立するだろう)と言ったらしい。・・・・