探偵日記

探偵日記 04月07日火曜日 晴

遂に非常事態宣言が出されそうだ。他の国と比べて遅きに失した感はぬぐえないが首相もやっと決心したようだ。
僕はといえば相変わらず危機感のない日々で、昨日もゆりこの要望に反した行為を重ねて午前様になった。その結果、もうそろそろ来てもいいコロナ。と思っていた通り、高熱、倦怠感、咳の症状が出始め、今朝から、平熱を1,2度超える状態で推移。朝食の後ベッドの虜となった。同居人は、「7度超えなきゃあ大丈夫よ。味覚は有るんでしょ」といい、ランチタイムには強制的に外に連れ出され、食べた後「ねえ夜は何処で食べる?」とのたもうた。思えば、2週間前には銀座や歌舞伎町でクラブで活動に励み昼間は雀荘に居続けた。優しいコロナだって、ムっとしただろう。親しい医療関係者曰く「症状が出てからあっという間に死に至る」そうだから、僕の人生もあと僅か。と思っていればいい。あ~あ

新宿・犬鳴探偵事務所 4-7

東京銀座。わが国最大、且つ、上品な歓楽街。いってみれば世界でも類を見ない、まさに東京のシンボルともいえる街。犬鳴も常に憧れたが、今では、(自分はとてもそんなレベルじゃない)と諦めほとんど道警の世界になってしまった(銀座)のはずれの人によっては銀座と詐称するかもしれない(港区新橋一丁目XX番地)土橋の高架下をくぐり、第一ホテルの脇の古ぼけたビルの一室に怪しげな会社がある。表向きは経済誌を発行しているが部屋に入ると代表のWと女子事務員が一人いるだけ。時々得体のしれない男が出入りするがどれも胡散臭い風体で人相もよろしくない。会長と呼ばれるWの手下なのだろう。ブローカーを生業にし、場面によっては雑誌記者となり、またあるときは強面の団体関係者ともなる。事実、会長のWはそのたぐいの会の会長を自称していた。
犬鳴がまだ神田の探偵事務所で調査員として勤務していたころ、その事務所が彼から依頼された仕事で失敗したことがあった。当時、この事務所の所長は小心な男で(きちんと説明に来い)と言われて震え上がった。「ねえ、犬鳴君行ってくれないか」と言うので、犬鳴はこれも勉強だと思って行くことにした。入ったばかりの見習い探偵助手に命じるのもどうかと思うが、考えてみるとその頃その探偵事務所には、所長と、所長の元妻と犬鳴しかいなかった。・・・・