探偵日記


2023・11・04 土曜日 ☀




11月で夏日、ちょっと変じゃあない。と言いたくなるような陽気。朝ごはんを食べた後、テレビでゴルフ番組を観てたが、なんだか落ち着かない。とにかく、戦中派というか僕の年の男はマグロみたいなもので、家でじっとして居るのは罪悪だ。なんて思ってしまう。(そうだ事務所に行こう)というわけで、用もないのに新宿へ。そうだ今日から少し何か書いてみよう。




バブル紳士からの調査依頼 1




平成4年、およそ10年続いたバブルも崩壊し、我が「新宿犬鳴探偵事務所」も閑古鳥が鳴き始めた。月に5,000万円ほどあった売り上げも数百万円に落ち込み、経理を担当している姉で、女王様の紀代ちゃんが言う「ねえ、所長これじゃあもうやっていけないわよリストラしましょう」と。(そんなこと分かってるよ)と応じたものの、リストラってなんだ。犬鳴は、横文字に弱いふりで聞こえないように、そっと事務所を出る。勿論、逃亡先は雀荘。そして暗くなれば歌舞伎町でクラブ活動が待っている。                             昭和46年、神田駅前のちっちゃな事務所で独立をはたした犬鳴も47歳。十分分別も無ければならない年齢だ。だがしかし、生来の遊び好きは治らない。金があろうと無かろうと、やりたいことはやる。後年、やっぱりあの頃は若かったんだなぁと思った。あくる日、事務所に行くと、女王様が待ち構えてて、「所長、平山企画さんが来て家賃の値上げを言ってきたわよ」と言う。へ~こんな時期に。それでいくら上がるの。と聞くと、毎月110万円になる。と言う。いかなちゃらんぽらんな僕も、う~んとうなった。この頃は、ひっきりなしにFAXがなり、都内の不動産屋さんから事務所の移転を誘ってきた。中には、(半年間のお家賃を免除します)とか、(お引越しの費用をすべて持ちます)など。もちろん家賃も今の半額である。そんな時に値上げを言ってくる。少しおかしいんじゃあないの。と思っていたら間もなくその会社は倒産してしまった。