探偵日記

探偵日記 8月7日金曜日 晴れ

今日は月一回の定期検診の日。採血と採尿のため駅前のクリニックに行く。やはり暑さのせいだろう。10人近く居るスタッフ(全員可愛い女性たち)は短髪にしている。11時半事務所へ。夕方、芝の東京プリンスホテルで、日本橋の会社社長主催のカラオケ大会が催され、僕も招かれている。終わったら銀座のクラブに寄るつもり。

れんげ 24

 そうして迎えた新年、鷲宮家には数日前から新しい家族が出来ていた。4日前の晩、千葉県から2時間かけて送り届けられた預かり犬は、ひかるや子供たち、先住犬の幸までも無視し、相変らず自分だけの世界にうずもれているが、ひかるには分っていた。最初の夜も、ひかるが明かりを消して寝たふりをしていると、ケージの中のご飯を美味しそうに食べ、朝になってみると水も減っていたし、おしっこもちゃんとシートの上にしていた。茶々は、ひかるの姿を見るとケージの奥にへばりつき震えている。ご飯も人が居ると食べようとしない。余ほど怖い思いをしたのか、それとも生まれつき憶病なのかしら。と思った。
 翌朝、とにかく散歩をさせなきゃあ。と思い、ケージから出そうとするが出てこない。やっと出したが今度はリードをつけさせない。ケージの中ではただ震えているだけだったが、リードをつけるときは暴れて抵抗する。逃げ回る茶々をやっとのことで外に連れ出すまで30分以上かかった。しかしそれからがもっと大変だった。家の前の道に出た途端、座り込んで動こうとしないばかりか、駐車中の車の下に逃げ込もうとする。ひかるは思った。(この子はこうして生きてきたんだろう。)野良の生活は人が想像する以上に険しいものだ。雨の日。いっときこうして凌いだんだろう。それでも、騙しだましという感じで朝晩の散歩を続けるうち、どうにか馴れたようで、部屋のシートがほとんど汚れなくなり、ご飯もひかるの見ている前で食べるようになった。ただ、気を許しているのはひかるだけで、子供達からは隠れることが多かった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー