探偵日記

探偵日記 9月15日火曜日 晴れ

事務所の机に座って思い出したことが二つある。一つは携帯電話を忘れたこと。もう一つは実母の命日ということ。20年前に、79歳で亡くなった母は奔放に生きた人だった。病院で死に顔を見たとき、さぞかし面白い人生だっただろう。と、つくづく思ったものだった。淋しがりやで惚れたがり。歌の文句そのままに亡くなるまで誰かを好きになっていたようだった。まあ、その点は僕もちょっぴり似てるかも。(笑)
今日はこれから大忙し。13時、日暮里のホテルで7年前の依頼人と、再調査の件で打ち合わせ。14時30分に、日比谷の帝国ホテルで地方から上京する依頼人と会い報告が2件。18時には、中の駅前で新しい依頼人と待ち合わせしている。よせばいいのに、ジムにいってプールで泳いだので疲れて、意識が朦朧としてきた。

れんげ 48

 そんなことを思い出し、ひかるが、私ももっと余裕があれば何匹でも預かりたいのに。なんて考えていたら、ポチの家の中川さんが、ひかるたちが輪になっているところに駆け寄り「れんげちゃんの子どもが着きました」と知らせてきた。長旅だったので少し落ち着いたらここに連れてくる。と言う。ひかるはわけも無く緊張した。山本夫人を窺うとひかる以上にこわばった顔をしている。二人は目を見合わせてどちらともなく頷きあった。ーーーーーーーーーーーーーー