探偵日記 10月24日月曜日 晴れ
土曜日は予定があって何となく忙しく過ごしたが、日曜日はやることもなく、ジムに行ったり伊勢丹にグレープフルーツを買いに行くなどした。夜は阿佐ヶ谷で食事。今朝は今季一番の寒さだったような気がした。朝5時、タイちゃんと未明の街へ。こうして、何時もと同じ1週間が始まった。
探偵事務所の業績は不安定である。我がTDAも昨年末目が回るような忙しさだったが、今年は8月以降閑古鳥が鳴く状態が続いている。「果報は寝て待て」なんて、のんびり構えていられない。とはいっても、いまさらじたばたしてもしょうがない。まあそのうち風が吹いてくるだろう。昭和44年、僕が神田の探偵事務所に入った時、その事務所もそうだった。暇なときは何にもすることが無く、かといって、安月給でパチンコにも行けない。渋面の所長とにらめっこする日が何日続くこともあった。そんなとき、僕は新聞の広告欄を見てアルバイトを思いついた。例えば、「お手伝いさん募集」を見ると、その家に電話をかけ、「経理社員募集」を見ればその会社の人事担当にアプローチする。そして、(そんな大事な募集をなさって、身元の確認をしないで採用するんですか)と営業をかける。家出人の捜索記事はけっこう高かったような記憶があるがほとんど効果なし。記事を出した人は親族であろう。聞いてみると、1日中電話の前で吉報を待っているのだが、ほとんどが根拠の薄い情報や冷やかし。と嘆く。----