探偵日記 01月24日火曜日 晴れ
一通り朝の行事を終えて、10時半事務所着。事務の高ちゃんと所長、女子調査員1名、社労士の娘が在社している。今抱えている案件は3件、そのうち2件はやや困難な調査となっている。小田急沿線に住むサラリーマンで、ごく普通の不倫調査なのだが、相手が「神出鬼没」(こっちが勝手にそう思っているだけかもしれないが)何しろ、マルヒと相手の女性に家が隣り合わせ、しかも勤務先が一緒で、職務上行動を共にすることが多い。帰りもマルヒの車で一緒に帰って来る。
双方の家庭は家族ぐるみの付き合い。もしかしたら依頼人の思い過ごしでは?と言う調査員も居るが僕はそうは思わない。二人は確かに通じている。探偵の勘?そうじゃない。二人の顔に「浮気の相」が見える。余談だが、昔、僕の大先輩で有名な探偵が居た。或る時、子供が家出した探して欲しい。という依頼人夫婦が彼の探偵事務所を訪れた。一通り話を聞いた名探偵を自称する彼は、1枚の東京都の地図を広げ、数分瞑想していたが、かっと目を開くや、地図上のある地点を指さし、(子供さんはここの黄色い屋根の家に居ます)と言ったらしい。夫妻はあきれて、ほうほうの態で彼の事務所を後にしたとか。73歳にならんとする僕もその先輩の境地に至ったか。-----