探偵日記

探偵日記 04月15日月曜日 晴

暖かくていい朝、朝食の後早々に支度をして、歯科医院に行く予定で家を出る。数日前から右の奥歯の下がものを噛むと痛む。鏡で見ると、歯茎がだいぶん減っていた。院長のドクターKはゴルフ仲間。阿佐ヶ谷の駅前に小奇麗なクリニックもあるが浮気は出来ない。と思って10時に行くも、なんとお休み。エッ月曜日が定休日だっけ。仕方なく事務所へ。昨日から選挙のことでかしましい。杉並区も数十名が立候補している。複数の友人から応援(投票)を頼まれ、その都度OKと言ってある。だから選挙の票読みは難しい。

詐欺師K 2

その会社もクラブ経営のために新設したもので、KもKの仲間も僕も採用されたばかり横一線である。ただ、Kは数名の子分ともいえるような若い社員とつるんでおり、派閥を形成していた。Kは入社した時から「部長」であり、その他はみんな同じ平の営業部員ということになる。そして、営業に出るときは二人一組だから、Kや、Kの派閥のものと組むことが多く、退社後、歌舞伎町に繰り出す時、僕も誘われ、1週間もすると派閥の一員にされた。それで分かったのだが、Kが密かに読みふけっているのは競馬新聞だった。そして次第に、というか、さほど時間を経ずして、Kのおおよそのことが知れたのである。NHKを使い込みが発覚して首になった後、当時一世を風靡していた、別荘地販売の再大手「大京観光」に転じ、また悪さをして首になり、その後は、会員募集などの営業一筋に各社を転々としたらしい。したがって、派閥は悪のグループともいえた。数年前まで、Kの実家は中野区にあって、一日中自分の家の土地だけ歩いても終わらないぐらいの大地主で、家作も沢山持っていたという。ところが、一人息子のKが全部使い果たし、未亡人の実母はビルの清掃人になっていた。・・・