探偵日記


2020・11・16月曜日 晴




昨日のゴルフ、自分ではまあまあ頑張ったつもりだったが、33のハンデを持つ伏兵に優勝をさらわれた。今日は、銀座で個展を開く人のお祝いに出かける予定。画伯は税理士の資格を持ち立派な事務所も開いている。確か、90歳を越えていると思うが元気で、創作活動のため海外にも出かける。僕も見習って、探偵のかたわら執筆活動も再開したい。




不倫 4




大臣の奥様曰く「勝負下着をつけて行ったので今日は必ずホテルよ」と。議員会館の駐車場近くで張り込んでいるとマルヒが出てきた。スーと近づく乗用車。マルヒは素早く秘書氏の運転する車に乗りこんだ。JR新橋駅前で下車。とあるうなぎ屋に入る。へ~朝ご飯を食べてんだ間もないのに。と思ったが、調査員を残して僕も入る。そろそろランチの時間で一人二人とサラリーマン風の男性が入ってくる。僕も一番安いうな丼を注文して監視を続けていると大臣は何とお代わりをした。(なんじゃぁあれ)と感心していたら、あっという間に平らげてもうお勘定をしている。秘書氏は帰したので大臣タクシーに乗る。当方もこれを追尾。当時は一般に探偵に対する知識も薄く尾行も楽だった。(まさか自分がつけられるなんて微塵にも思わない人たちばかりだった)12時07分、地下鉄丸ノ内線「赤坂」駅前の赤坂東急ホテルでタクシーを降りたマルヒは2階にある理容室に入った。30分ほどで出てくるとフロントによらず、エレベーターで上階へ。2203号室に入った。やはり調査員をその階に残し1階で待つこと20分余り。妙齢の美女がタクシーから降り、やはり3階のフロントに寄らず2階に上がりマルヒの待つ部屋に消えた。政治家は皆元気である。朝ご飯を食べた数時間後に、うな重を2つ食べ、美女と野獣じゃアなかった大臣は午後8時、疲れた様子も見せずホテルを出ると銀座のクラブへ。今では、この種のホテルで数時間過ごしても(動かぬ証拠)にはならない。(いやあ、ちょっと打ち合わせをしていた)と言われればそれまでだ。 数日後、依頼人にこれまでの報告をする。僕が考えていた通り依頼人は夫にも言わず、相手の女性に一言も苦情を言わなかった。ただ、その後、大臣が亡くなるまで足しげく事務所を訪れ「探偵」の口は封じた。