探偵日記 10月27日金曜日 晴れ
今日は爽やかな秋晴れ。朝、部屋の窓を開けて空気を入れ替える。我が家には犬と猫が1匹づつ居て、彼、彼女らの毛が家じゅうに飛散する。僕の部屋も普段は入れないようにしているが、ドアの開閉時舞い込む。少し前まで猫は3匹だったから毛の量も多く賑やかだった。犬のネクタイは16歳、猫のリボンは23歳だから人間に例えればかなりの高齢だ。もうボケていてリボンなどおしっこを僕の目の前で堂々とする。ネクタイは日がな寝ていて気管支炎を患い絶えずゴホゴホしている。しかし、とってもかわいい家族たちである。
結婚 2-2
二人は上場企業に勤務する者たちだけが入れる結婚相談所で出会った。勿論共に初婚である。男性の方は彼女にひと目ぼれし、彼女も結婚願望が強い分だけ、男性の勤務先や、まあまあの容姿に手を打って交際を始めたようだった。彼女の話すことを要約するとこんな塩梅である。1)彼が(君のご両親に挨拶したい)と言うので、或る日、自宅に近い駅で待ち合わせして家に案内することになった。待っていると改札から彼が出てきたが手ぶらであった。婚約者の実家を初めて訪れるのだから何か手土産を持参してくると思っていた彼女だった。すると、彼が(手ぶらっていうわけにはいかないよね)と言うので、ほっとした彼女が、遠慮がちに(そうですね)と言うと、にっこり笑った彼が駅前の八百屋に行き、リンゴを3つビニールの袋に入れて貰って、さあ行こう。と言った。少々驚いたが、まあそんな考えの人も居るだろう。と思った。2)式場探しとなり、休日喫茶店で落ち合ってホテル巡りをした。彼は目星をつけていたホテルが有ると言いNホテルに赴いたが、係の人との会話で少し前予約を取消し、申込金を支払っていることが分かった。ということは、自分の前にお見合いで婚約が成立して挙式寸前まで進んだことになる。しかし何らかの事情で破談となって、式場も解約せざるを得なくなったようだ。しかし、この時も彼女は(まあそんなこともあるだろう)と寛容に受け止めたらしい。-----