探偵日記 12月21日木曜日 晴れ
今年もあと10日、もうじたばたしてもしょうがない。何となく気も急いて忙しいのに空回りする感じ。それでもどうにか一つづつ結果が出て報告に結びつく。但し、
年を越しそうな案件が3件残りそうだ。そのうえ顧問先や仲間との忘年会も続き、毎朝二日酔い状態で目覚める。ただ、僕の長所は、どんなに飲んで遅くなっても定時に起き食卓に着けば美味しく食べられることである。幼少期、貧困とプラス食糧難のため十分な食事が出来なかったためか、それとも元来食いしん坊なのか、まあ、色々疾患はあるけれど、基本的には健康なのだろうと思う。というわけで、今日も、誰よりも早く事務所に入り机に座っている。
結婚詐欺師 2
依頼人B子さんはキャリアウーマン。そろそろ真剣に結婚を考えなければいけない年頃。親はとっくに諦めて顔を合わせてもその話題に触れないよう気を使ってくれているらしい。彼女は僕の子供たちより年下だから、会って話をしているとつい説教気味になってしまい、その上、自分の子供のような錯覚をしてしまい(上から目線)の言動になるからその点は大いに反省している。依頼人が言う「こんなに何度もお会いするようになるとは思わなかった」と。まあ、彼女に限ってそんなことは無いだろうが、僕は今まで4人の依頼人に死なれている。いずれも夫や恋人の裏切りに遭い、生きてゆく気力を失っての結果である。
弁理士先生のAは、そんなB子さんの気持ちを逆手にとって、ありとあらゆる嘘をまき散らし関係を迫った。或る時は、B子さんが友人たちと食事をしている時(どうしても会いたい)(ちょっとだけでも)などと強引に呼び出す始末。B子さんに限らず、そんなふうにされれば女性は嬉しいものかもしれない。そうして、その日からAは、お昼の1時間、B子さんを自分の職場の近くに来させてお茶をしたり、夜のわずかな時間でも誘って、公園などを散歩したりした。そんなとき必ず、(将来についての話題で盛り上がった)という。妻ある男が(今度の元旦何処で日の出を見ようか)とか、(今の仕事を辞めたら二人で何か商売を始めよう)などと言うだろうか。---