探偵日記 04月13日金曜日 晴れ
昨日とうって変わっては肌寒い。10時前に事務所へ。13時神田の会社へ報告に行く。探偵と依頼人相性が悪いとどうもやりにくい。こちらは誠心誠意、調査も緻密にやったつもりでも不満を持たれる場合もある。いってみれば、デパートでスーツを買って、その代金の範囲で、靴もくれネクタイも。と言われるようなもので、ほとほと困る。ノーと言えば、悪徳だとか、技術的にどうもねえ。などと苦情を言われる。こんな場合、仮に再度呼ばれても僕は行かない。ただ喧嘩は嫌だから、やんわりとお断りするつもりである。「探偵」にも曲げられない一分はある。
株式会社ティー・ディー・エーの歴史
探偵業とバブル
新宿に移って3年目。前にも何かで書いたが、新宿駅から徒歩1分の所に建設中のオフイスマンションの1室を購入した。勿論長~いローンで。完成後勇んで転居。当時は、興信所的な仕事はやらず本当の意味で「探偵」業に変わっていたので、調査員も数人しかおらず、狭い部屋でもなんとかなった。それに、かっての仲間が数人いて手伝ってくれていたのでちょっと多忙になってもこなせた。昭和57年、それがバブルとは気が付かなかったが、連日のように依頼が入り、嘘のような話だが、その頃、僕の事務所に「預金してくれませんか」と言って訪れた信用金庫の職員まで手伝わせた。その彼も数年後正式に調査員として採用し、町田の所長に抜擢したが、50歳の若さで亡くなった。どうしてもこなせなくなって、募集をかけたらなんと20人近い応募があって、そのうちの8人を採用した。1ケ月全く仕事は無くても月末に入った案件一つで、その月の支払い全て賄ったこともある。探偵業の不思議な側面である。------------