探偵日記 03月12日木曜日 晴
今朝も昨日のゴルフコンペの悪い余韻を引きずっていた。午前中のロングでバンカーで躓いて11打ったのは仕方ないと思うが、最終ホールの4パットは理解できない。3オンして2パットで優勝なのに。
気分直しに、伊勢丹ではなくて京王百貨店でセーターを買う。今度の日曜日はこれを着てリベンジ。
夜は、友人とご飯を食べて8時半帰宅。
新宿・犬鳴探偵事務所 3-12
昭和60年頃だったか、杉並区の住宅でその家の主婦が首をつって自殺した事件がニュースになった。自殺した主婦の夫は造園業を営み、ご多分に漏れず大層う羽振りが良かったようだ。したがって近隣では(ご主人の女性問題でずいぶん悩んでいた)と、もっぱらの噂になった。
或る時、井口夫人に「ワンちゃん集金に来てよ」と言われ、井口邸まで行ったことがあった。井口邸は広大な敷地の中にあり、道路から母屋は見えない。夫に見とがめられるのも嫌だな。と思った犬鳴は少し離れた道に車を停めて夫人を待っていた。すると、ドアに社名を書いた軽自動車が犬鳴の車を追い越し停車した。その車から60歳ぐらいのがっしりした体格の男性が下り、中に入ったら見えなくなるほど実った畑道を入って行く。いずれも井口家の敷地内である。犬鳴は、車に書かれた造園会社の名前を見て(同業者かな)と思い、それにしては何でコソコソと尋ねてゆくんだあろうと怪訝に思い、次に、悲しい職業病が出た。車を下りた犬鳴は電柱の陰に隠れその男を目で追った。・・・・・