探偵日記


2022・11・10 木曜日 ☀




昨日、僕より若い人が「今日俺は5000歩歩いた」と自慢げに言っていた。僕はそっと自分のスマホを見ると午後5時の時点で1万歩を超えていた。昨日は、練馬区平和台まで内偵に行ったあと、新宿の高層ビルにある某社を2往復したからだと思う。それにしても我ながらよく歩くほうだと思う。貧乏なんだから健康第一(笑)




何千分の一 (3)




探偵は透明人間にはなれない。若い頃、真剣に(なれたらいいな~)なんて考えたこともあるが。依頼人は、探偵を特別な能力を持っていると考えがちだ。確かに、多少勘がいいのとすばっしこければいいが、しょせん生身の極々普通の人間である。したがって、マルヒに構えられると、この日のようなこともある。僕はすぐに依頼人に連絡をして謝罪し、調査の続行を頼んだ。以後、計10回、マルヒの勤務先から尾行を重ねやっとマルヒの住むアパートを突き止めた。信用金庫の職員である依頼人は、料金の追加を申し出てくれたが(それじゃあ、あとこれだけお願いします)なんて言うほど恥知らずではない。結果、1日5000円の尾行調査になってしまった。                              そんなことも忘れた頃、成城学園に住むという或る夫人から「夫の素行調査をお願いしたい」という電話を受けた。・・・・・