フードの社長 その3

翌日出社すると池沢が待ち構えていたように僕の部屋に入ってきて、「今日13時に約束しました」と言う。(うん判った)と言って、他の調査員からの報告を聞いたりしながら、どう言って断るか考える。午後1時、約束の喫茶店に着く。5千万円の小切手は池沢から僕が預かってある。少し遅れてT社長がせかせかした足取りでやってきた。初対面の僕は名刺を出しながら、T社長をそれとなく観察してみる。小心な好人物に見えた。

(早速ですが昨日池沢から聞きました。基本的には了解いたしましたが、2,3お聞きしておきたいことがあります)と切り出した。T社長は、やや緊張した面持ちで僕を見る。どんなことでしょうか?と言うT社長に対し、(事故死に見せかけられれば良いんですが、そうでない場合、彼が不審死したら誰が一番疑われるでしょうか)と言って、T社長をじっと見つめた。状況的に、間違いなくT社長であろう。社長は「うーん」と言って返答できずにいる。

仮に、僕が警察に参考人として呼ばれても貴方の事は決して言いません。また、警察も何の関連も無い僕を初めから被疑者にするはずはありません。まず、必ず社長が参考人として呼ばれるでしょう。しかも、かなりの確立で犯人扱いするはずです。僕も実際の経験はありませんが、向こうは警察学校他で、自白を誘導する術を学んできています。例えば、普通の人など、机を思い切り叩かれただけで震え上がるそうです。それで社長が僕の名前を出したとします。それでも僕は認めないでしょう。そこで、社長良く考えて下さい。

(と言って、徐に背広の内ポケットから小切手を出してテーブルに置いて)この小切手は会社が振出人になっていますね。この小切手が、数日後、僕の、または僕の関係者の口座から取り立てられたとしたら、ここまで言ったら社長も理解したようだった。(とにかく、社長が希望されていることは大変な作業です。失敗したら私たちの将来は有りません。秘かなるは密なるをもって。と言うでしょう。検討し直しましょう。まず最初に、1億円のお金を、会社や社長個人の口座を通さないでご用意下さい。ーーーーー

10月7日日曜日

昨日、衝動的に(実は以前から代えようと思っていたが、僕の周囲で、使い勝手が悪いと言うので躊躇していた。)携帯電話の機種を変更した。その大きな動機は、65歳の妻が使いこなしている姿を見て、また、知人の77歳のご婦人が利用しているということを聞き、ならば僕だって。と考えたからである。ところが、夕方になると頭が痛くなり、気のせいか、吐き気さえしてきた。それでもどうにか、通話とメールは出来るようになったが、誤字だらけ、全く違う人にも送ってしまったようだった。

極めつけは、今朝05時、設定していたアラームが鳴った。ところが消し方が判らない。しかも音が異常に大きくて、マッチ箱みたいな僕の家のこと、家中に響き渡る音で、妻が起きてきた。僕は自分の携帯を決して妻や娘には見せないよう心がけていたが、仕方なく見せる羽目になった。幸い、変えたばかりでほとんど記録が無かったので事なきを得た。(笑)まあ、そんな秘密も無いのだが。

早速、昨日買ったドコモに来たが(お休み)の告知。どうしよう、誰か教えて。(泣)ーーーーーーー