探偵日記


2023・12・01 金曜日 ☀




朝家を出て駅に行く道すがら、傘を持っている数人の人がいた。あれっ今日は雨の予報だったっけ。と思ったが取りに帰る気もせずそのまま電車に乗った。午前中、銀座で一人、神田で一人面談して、正午事務所に戻ってきた。師走初日、不安と期待で幕を開けた。




バブル紳士の調査依頼 19




僕は常々、(すぐに土下座するような奴は信用できない)と、思っている。したがって、Nのことも(どうしようも無い奴だな)と思ったが、会長にはまた違う考えがあるのだろう。或いは、100億ねこばばされても強く出れない「理由」があるのか。とにかく、本件に関わってから見聞きすることは殆ど未経験のことばかりで、犬鳴の許容範囲を超えるものだらけであった。しかし、毎回裁判を傍聴して思ったのはT銀行の支店長代理Mのしぶとさであった。経緯はこうである。まず、借主をでっちあげ、その借主の経営する会社名義の、100億円の「定期預金」をMが偽造する。そうして、借主の社長が「預金証書」をノンバンクの持ち込み100億円の融資を申し込むのだ。当時は、今なら考えられないような高金利であった。オリックスやその他のノンバンクはその「定期」に飛びついた。  ある時のこと。二十歳代の若い社長が証人として登場した。検事の質問にこう答える。「え~、貴方は借りた100億円をどうされましたか」若い社長「すぐにMさんが来て金融の手数料5パーセントをお支払いしたのですが、Mさんが、ちょっと使わせてよ。と言って15億円持っていきました」まあ、Mが居なければ出来ないことだから20億円減ってもどうってことはない。何しろ(返済の必要が無いのだから)・・・・・・・