探偵日記

2月 10

探偵日記 02月10日金曜日 晴れ

昨日は郷里の先輩と赤坂で食事して、その後、最近オープンした赤坂のクラブにでも行こうかと思っていたら、歌舞伎町のママからメールで、「今日来ればハーレム状態でもてるわよ」との由。生来女好きでスケベな僕は瞬時に予定を変更した。雪からみぞれ、やがて雨になった見附からタクシーで一直線、20時半頃歌舞伎町に着いた。勇んで店に入ってみると7割がた埋まっており、反対に、荒天を予想して休みのホステスもあって、僕たちの席に着いたのは入店してまだ数日の子と、ウバ桜(しのちゃんゴメン)やがてやってきたママに(嘘つきなにがハーレムだ)と文句を言ったが後の祭り。もう60近いだろうママは艶然とほほえみ知らん顔。帰りに、「よくぞ来てくれたサンキュー」と、ほっぺにチューしてくれて終わり。最近の僕はだいたいこんな感じで、帰りのタクシーで大いに反省する。

今やっている身元調査、少し考えさせられる現象が起きた。年齢31歳、未婚との申告。お屋敷町で有名な成城学園5丁目に家族とともに住みメガバンクに勤務中。しかも出身校は三田のK大。決して美人ではないがおっとりとした雰囲気のお嬢様。住所地における聞き込みの結果も瑕疵は無く、総じて、(配偶者としてみた場合特記すべき懸念は無い)評価である。ところが、父親の住民票を見てエッと思った。普通、住民票には、世帯主の父親から、世帯主の妻、長男、長女、次女、(最近は子供たちの続柄を廃し、いずれも子と記載される)というふうになっており、各人の本籍は世帯主である父親と同じである。
ところが、マルヒ(本件の場合次女S子)の本籍だけ異なり、しかも筆頭者が本人になっている。(どういうことだ)僕をはじめ調査員たちが首をかしげた。----

探偵日記

2月 08

探偵日記 02月08日水曜日 晴れ

昨日は「東京調査業協同組合」定例の理事会を行った。場所は、歌舞伎町の喫茶店「ルノアール」の会議室。8社が参加して、今年度の予定や抱負を語りあった。ご多分に漏れず我々の業界もぱっとせず各社低迷を続けている。皆が僕に問う。「TDAはどうしてそんなに安定しているのか」と。彼らも調査員の端くれならTDAが安定しているか、好況か分からないのか。と思ったが、とりあえず僕のことをそのように見てくれるのは光栄である。ということで、ひと言。(依頼人を好きになれ。そして心からその人のために尽し、納得してもらえる結果を示し、決して欲はかかない。そうすれば後々に繋がる。)と諭した。他社の話を総合すると。(リピート率0)だと言う。しかし、TDAはほぼ100%リピートである。みんなは「その違いを教えてくれ」と言う。なかなか表現するのは難しいが、(とにかく人を好きになり、優しくなれ)まあ、こんな抽象的な言い方では理解不十分だろうが、僕は50年近く、このことを信条としてやってきた。(嘘つきター坊)ならではの人生訓かな。(笑)
今年は、マスコミなどを通じて、組合の存在をもう少し世に知らしめる努力をしよう。ということで閉会。その後、しゃぶしゃぶ「しゃぶ叙」で食事して解散。若い彼らに幸あれ。

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2月 06

探偵日記 02月06日火曜日 晴れ

抱えている案件のうち2件に進捗があった。一進一退(調査に一退はないが)を続けていたがやっと結果につながる部分が判明した。

千代田区長選、予想通り現職が与謝野信氏らに大差をつけて5選を果たした。僕はあることからこの選挙結果に注目していた。そして、僕の考えていた通りなのだが、5期は長いような気もする。若い人にバトンタッチしても良かったんじゃあないかとも思うし、小池絡みっていうのも気に入らない。どの国でもそうなんだろうが、日本人は特に(付和雷同)気味で、風に流される傾向が強い。かっての民主党や日本維新の会もそうだったが、今回、今の都連の議員らも主義主張を捨てて小池人気にあやかろうとしてるらしい。(ばっかじゃあないの)と腹立たしくなる。

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2月 03

探偵日記 02月03日金曜日 晴れ

何だか気分が優れない日が続く。調査も自分が思っているようには進まず調査員の報告にイラつくときが多い。そんな時、果たして自分が若いころ、僕を使っていた責任者はどう思っていたのだろうか?と思う。自分で言うのも変だけど、僕は比較的要領の良いほうだった。したがって、先輩や上司の問いかけに如才なく応じていたのだろう。今の若い人はそういう場合のやりとりが下手なのか。
探偵学校で僕は「受件と報告」という講座を受け持っていた。我々の業務は誰かに頼まれてやるもので、勝手に行うことは無い。したがって、調査を依頼してくれる人との交渉が第一歩で、しっかりその人の話を聞き、難易度を判断しながら「調査料」を決める。この第一段階をおざなりにすると後で痛い目に遭う。依頼人の何気ない独白からヒントを得ることもあるし、うっかり聞き逃したため実際の調査で後手に回ることもある。では、僕の若いころ、責任者は噛んで含めるように指示してくれただろうか?してくれたような気がする。ということは、調査員に対する僕の指示は、もうひと言足りないということになる。

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1月 31

探偵日記 01月31日火曜日 晴れ

昨日と今日では10度近く違うとか。寒い朝だった。昨夜は主治医が聞いたらさぞ怒るだろう深酒をした。まあ、酒に強い人ならばどうってことは無いかもしれないが、本来、下戸の家庭に生まれた僕は弱い部類に入るだろう。ちなみに、ビール2本、ひれ酒2杯、ワイン4杯、焼酎3杯、いい気持になって帰宅したのだが、目覚めは最悪。8時の朝食は何とか美味しく食べれたがその後二度寝。今日大事な予定があるので正午ごろ事務所へ。

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1月 30

探偵日記 01月30日月曜日 晴れ

08時35分事務所着。「ねえ貴方明日朝電気屋さんが来るから早く出てくれない。」昨夜ご飯を食べている時、見張り番からお達しがあった。なんでも、ダイニングのテレビが壊れ、洗面所に置いてある洗濯機も不調だという。テレビのほうは、真ん中に2本の筋が出来、そろそろかな。と思っていたので致し方ない。洗濯機も物凄い音がするので、機械オンチの僕は(こんなものなのかな)ぐらいに考えていたが、そうでもなかったらしい。加えて、玄関の電気が切れて、「ねえ直してよ」と言われたが、そんなことは武士の(否、男の)することじゃあない。というふうに躾けられた僕は返事もしない。「男子厨房に入るべからず」なんてどこの誰が言い出したのか知らないが、おかげで僕はテレビのスイッチも判らない。

今日からタクシーの初乗り運賃が変わるとか。1キロちょっとで410円になるらしい。ところが、これは数字のマジックで6キロを超えると逆に高くなる仕組みである。僕は毎晩歌舞伎町から阿佐ヶ谷までタクシーで帰るが、だいたい2700円ぐらい。これが3000円になるだろう。お上のやることは分からない。

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1月 27

探偵日記 01月27日金曜日 曇りのち晴れ

10時、高田馬場の喫茶店で依頼人と面談。この人は時々ご依頼くださるが、必要経費などあまり細かいことをおっしゃらず、大変有難い依頼人と言えよう。
面談を終えて11時事務所着。困難だった案件が昨夜成功裡に終了した旨の報告を受けひと安心する。この案件は、他の探偵社が調査をしていたのだが一向に結果が出ず、弁護士の意向で小社にお鉢が回ってきたものである。概して、こういう経緯の依頼は手こづる。果たして、尾行を始めると困難を極めた。前任の事務所で(バレテーラ)になったものと思われるがなんとか解決を見た。(会いたさ見たさに怖さを忘れ)たのだろう。後ろを振り返りつつ二人はホテルに行った。(笑)

明日からまた調査員は休む暇もなく張込尾行調査に従事することになる。寒空の中本当にご苦労様だ。出来る事なら僕も加わってやりたいと思うこともあるが、みんなが嫌がる。寂し~

探偵日記

1月 24

探偵日記 01月24日火曜日 晴れ

一通り朝の行事を終えて、10時半事務所着。事務の高ちゃんと所長、女子調査員1名、社労士の娘が在社している。今抱えている案件は3件、そのうち2件はやや困難な調査となっている。小田急沿線に住むサラリーマンで、ごく普通の不倫調査なのだが、相手が「神出鬼没」(こっちが勝手にそう思っているだけかもしれないが)何しろ、マルヒと相手の女性に家が隣り合わせ、しかも勤務先が一緒で、職務上行動を共にすることが多い。帰りもマルヒの車で一緒に帰って来る。

双方の家庭は家族ぐるみの付き合い。もしかしたら依頼人の思い過ごしでは?と言う調査員も居るが僕はそうは思わない。二人は確かに通じている。探偵の勘?そうじゃない。二人の顔に「浮気の相」が見える。余談だが、昔、僕の大先輩で有名な探偵が居た。或る時、子供が家出した探して欲しい。という依頼人夫婦が彼の探偵事務所を訪れた。一通り話を聞いた名探偵を自称する彼は、1枚の東京都の地図を広げ、数分瞑想していたが、かっと目を開くや、地図上のある地点を指さし、(子供さんはここの黄色い屋根の家に居ます)と言ったらしい。夫妻はあきれて、ほうほうの態で彼の事務所を後にしたとか。73歳にならんとする僕もその先輩の境地に至ったか。-----

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1月 23

探偵日記 01月23日月曜日 晴れ

今朝の散歩は猛烈に寒かった。朝4時45分、無情なタイちゃんの一声で夢から覚めた。良く覚えていないけどもう少し続きを見ていたかったような気がする。セーターの上にダウンを着て、マフラーを首に巻く。それでも外に出た途端寒風にあおられ震え上がった。しかし、多分僕と同じ年のタイちゃんは元気一杯に歩き、小1時間真っ暗な住宅地を進む。本当は、この後、ジムに行くはずだが世界一寒がりの僕は何時もサボる。

昨日、某ホテルで行われた国会議員の資金集めのパーティに行った。勿論招かれざる客として。(笑)受付をすませコートをクロークに預けソファに腰かけて待っているとK大臣が姿を見せる。続いて、かって自民党の幹事長を務めた大物、さらに、M大臣。可笑しかったのは、これも元大臣の女性議員が正面玄関から姿を現し、僕を見て「お久しぶり」と言ってにっこり笑うではないか。瞬間、あれどこの店のホステスだったかな?と思うぐらいケバい服装で、しかも厚化粧。最近、熟女クラブに行った記憶が無いけどな~。なんて考えてやっと思い出した。Sちゃんだと。-----------

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1月 20

探偵日記 01月20日金甌日 雪

朝4時半、タイちゃんを連れて外に出た時は暖かく感じたが、事務所に行こうと思って家を出ると小雪が舞っていた。近くの停車場(JR阿佐ヶ谷駅のことだけど)まで高架下を歩き電車に乗る。この雪も午後は雨に変わるとか、僕的には積らなければこのままでいいのだが。

昨日は予想に反して、好天気のなかゴルフをした。朝7時37分のスタートなのに全く寒くない。15日の日曜日とは大違いで、気持ちのいい1日だった。その後、床屋さんに行って、初めてのご依頼人と面談。内容は、(某1部上場企業の会長にお金を貸し続けているが、全く返済してくれない。)というもので、もしかしたら同名異人じゃあないかと思い始めて。と言う。数千万円もの大金を、その都度秘書を名乗る人物に手渡しし、借用書も無いという。その秘書さん以外にも登場人物、河野自民党議員秘書、みずほ銀行の某支店長などがいるが誰とも会ったことは無い。僕は言った(オレオレ詐欺と一緒だね)と。やっと、(どうも変だ)と思った相談者は、その重役さんとの電話の会話を録音し、メールも保存しているらしい。しかし、これだけの傍証で警察が取り合ってくれるか?答えはノーだ。

ゴルフの後、力を振り絞って受件に臨んだ案件がコレ。トホホ。

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1月 17

探偵日記 01月17日火曜日 晴れ

昨年の10月頃から左腕の付け根辺りが痛く、放っておいたらますます酷くなった。遂に、整形外科に行こうと思って色々探しているが、なかなかこれといったところが見当たらない。ネットで探してみると、阿佐ヶ谷に有る某クリニックなど酷い書き込みをされていた。これを読んだ人は決して行かないだろうと思えるほどだ。じゃあしょうがないから死に来た病院にしようかと思い電話をかけたら、朝8時前に来て待てという。それでも、もっと早い人がいて定員になりしだい受付終了とか。とにかく、ひざや肩、腰の悪い人がやたら多いのには驚いた。
今日一日、事務所に近い医院を探そうっと。

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1月 16

探偵日記 01月16日月曜日 晴れ

昨日のゴルフも寒かったが、今日も極寒である。荒天に弱い僕はこんな日は何にもしたくないのだが、月曜日からそうもいかないので嫌々支度して事務所に出た。明日報告する「報告書」を作成してランチに。麻雀もしたいが外に出るのが怖い。1月生まれで、北海道出身の見張り番(妻のこと)は、ぜ~んぜん寒くないじゃあないの。と言って笑うが、6月生まれの僕は暖房が入っている事務所に居てもマフラーを離せない。

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1月 13

探偵日記 01月13日金曜日

今日は13日の金曜日。今年はもう1回10月にある。欧米では不吉な日とされている。有名なコミック漫画「ゴルゴ13」のタイトルもこの不吉な日から取ったものだろう。そういえば、まだ1度も経験はないが死刑台へ向かう階段の数も13段という。日本人の自分には関係ないが、小心な僕は何となく心配になる。

今朝は9時半に駅前のクリニックへ。火曜日に検査した結果を聞くのと大量の薬を貰うためだ。美しい女医は「特に変わったところはありませんが、お酒を控えめにしてください」と決まりきった所見を述べる。患者は僕を含めほとんどがジジババで3人に一人は杖をついて訪れる。看護士や受付の女の子らは、これらの人たちにかんで含めるような言葉で接している。次の予約を入れるだけで数分を要す場合もある。(年寄笑うな行く道ぞ)という言葉もある。僕もそう遠くない日に

探偵日記

1月 12

探偵日記 01月12日木曜日 晴れ

昨日のゴルフコンペ隔月の第二水曜日に行われる「二水会」コースは何時もの、埼玉県毛呂山町のエーデルワイス。零下だとか、雪になるかもしれないという予報だったが、杞憂に終わった。どうかするとちょっと暑いぐらいの好天気。ただ、調子はいまいちで、良い時と悪い時が交互にあって、結果は3位。二次会は阿佐ヶ谷の「えん家」でやり、8時過ぎには帰宅。今朝は6時40分に朝食を摂り、9時に、「ホテルオークラ別館」で地方から上京中のご依頼人と面談。もう15年のお付き合いで、今日も新しい案件を頂いた。10時15分事務所に戻った。

ロマンチックな恋の結末 32

それからも時々連絡するのだが返事のないまま数か月経過した。弁護士のほうは依頼された案件が宙ぶらりんで困ったようだが、まあ、着手金を多めに貰っており「気にしないでください」と言っていた。それにしても無責任な話である。探偵に僕にはいいとしても、弁護士には連絡をしてもらいたい。携帯の留守電に入れたりしたが無のつぶて。そのうち、弁護士も僕も諦めて、同時に何となく忘れてしまった。

それにしても、マルヒの夫からも弁護士事務所への連絡が途絶え不思議に思っていたが、それからさらに巣か月たった時、調査員のOが、「所長、田沢湖の近くの山中で、あの先生とおばちゃん心中したみたいですよ」と言ってきた。僕はテレビをほとんど見ないが毎朝新聞は必ず読むようにしている。ところが、泊りがけのゴルフがあって、2日ばかり読んでいない。エッと言ってOを見ると(なんだ知らないのか)と言う表情で詳しく説明してくれた。なんでも、山菜取りに山に入った地元の主婦が発見したらしい。男性のほうは、ポケットに入っていた手帳や名刺から、女性は運転免許からそれぞれ身元が判明したという。男性は、東京の大学教授、女性は地元に住む人妻。と、報道されていたらしい。

僕は複雑な心境になった。そして、数か月前、最後に依頼人母娘に会った時の会話を思い出した。二人とも、マルヒの持つ有価証券や保険にこだわっていた。探偵の僕には縁のない額の預貯金もあって、(外に女を作られた)妻にとって、もともとそれほど大事に思っていなかった夫のことである。別れるなら根こそぎ取りたい。と言っていたし、「福田さん、何とかならない?」と、意味ありげに問われたこともあった。相手の女性に話が及んだ時に、吐き捨てるように「あの外道」と言った依頼人の顔が浮かんだ。(ちょっと調べてやろうかな)まさか母娘が自殺に見せかけて亡き者にした。とも思えないが釈然としない気持ちで数日を過ごした。しかし、好奇心もそこまでで、立て続けに舞い込んだ調査に追われ、いつともなく忘れてしまった。-------------

探偵日記

1月 06

探偵日記 01月06日金曜日 晴れ

今日は気温は低いけど風が無いので暖かく感じる。弁護士事務所を訪問するため、伊勢丹でお年賀を買って事務所へ。
1月11日に行われるゴルフコンペ「二水会」の準備に追われ落ち着かない。なんで幹事を引き受けたか反省しきり。まだ年賀状も全部見ていない。

探偵日記

1月 05

探偵日記 01月05日木曜日 晴れ

今日は我が事務所の初日。12時にランチを兼ねて顔合わせ。事務所の近くイタ飯屋で。ただ、体調が悪い人、仕事のある者がいて総勢とはいかない。その後は年賀状を見たり仕事の整理で歌舞伎町に出るのは3時以降か。相変わらずの不良生活がスタートする。3,4日は栃木県のひととのやCCでプレー。見張り番との気の入らないごるふだったが、好天に恵まれそれなりに気持ち良く回れた。

探偵日記

12月 29

探偵日記 12月29日木曜日 晴れ

昨日は事務所の忘年会。2名が欠席して10人の淋しい会になった。それでも、ビールや焼酎の他にワインを4本開けて、店への義理は果たせたと思う。フレンチの店で、数年前、今の事務所に移転する前のビルの前にあったのが、西新宿に移った。可愛いマダムとイケメンのシェフ。大きな店が一杯になっ他のも嬉しい。二次会は阿佐ヶ谷のスナック。大勢の仲間と盛り上がる。今日は、全国的に29日もうじたばたしても無駄。深く反省して、とてつもなく早く短かった1年を振り返る。来年はどうなることやら。

ロマンチックな恋の結末 31

一方、依頼人母娘はマルヒの実家から得た情報をもとに文字通り額を突き合わせて協議している。たまには僕も加わって意見を求められることもあったが、二人の剣幕に押されただ、たじたじとするばかり。発言が二人の意に沿わないものだったら大変である。「福田さんはどっちの味方なの」なんて理不尽に攻められる。ただ、驚いたことに平凡な、否、むしろうだつの上がらない大学教授のマルヒは、意外と蓄財の才があるようで、かなりの預貯金と有価証券、年金保険などを持っており、これらを総て奪い取ろうと企む二人も苦心していた。

そうした或る日、H弁護士から電話があり「福田さん依頼人と連絡が取れなくなったんですが何かご存知ですか」と言う。そういえば、僕ももう1週間余り会って無いし連絡もない。(いえ、判りませんがどうしたんでしょうね。じゃあ今夜にでも自宅へ行って様子を見てみます)と言って電話を切った。実は、この頃には依頼人母娘は自宅に戻って、用心しながら生活をしていたのだ。念のため自分でもまず依頼人に、その後、娘のほうにも電話をしたが、発信音は鳴っているのに出ない。調査員のOに命じ、様子を見に行かせたところ「電気もついていますし、人の声も聞こえます」と、報告してきた。ということは、普通に電話を受ける事が出来るのに承知して拒否している。ってことだ。何故だろう?-----------------

* 今年のブログは本日をもって終わります。また来年もどうぞよろしく。みなさま、良いお年をお迎えください。

探偵日記

12月 24

探偵日記 12月24日土曜日 晴れ

昨日は緊急の案件で川崎まで行った。あいにく尋ねた人が不在で無駄足になったがメモを置いて来たので連絡をくれればいいが。と思っている。今日も土曜日だが所用があって車で事務所へ。夜は恒例になったステーキ店で家族とイヴの乾杯をする予定。慌ただしい年末になりそうである。

ロマンチックな恋の結末 30

東京に帰って、母娘でマルヒの日記や写真あるいはメモなどを整理するという。二人はまだ僕の名前でとったホテル住まいである。(ご不便でしょうね)と問うと、二人は「いいえ快適です」と言う。一方のマルヒもホテルでの生活を余儀なくされ、弁護士事務所を毎日のように訪問して、「先生何とか良い方法を考えてください。」と迫っているらしい。そして二言目には「妻の分も含めて費用はすべて私がお支払いいたします。」と言っているようだが、弁護士としてはとんでもない申し出で、そんなことをして、後で異議を唱えられれば、倫理委員会にかけられ「懲戒」処分を受ける羽目になる。

そんなこんなで膠着状態が続き、母娘も弁護士の助言で自宅に戻ることになった。マルヒはそんなことは露知らず相変わらずホテルに留まり、時々は大学に行く生活のようで、何度も面談している弁護士は「いやあ、夫のほうの力になってあげたくなっちゃいますよ」と言う。話せば話すほど好人物に思えるらしく、頑なな主張を繰り返す依頼人母娘にうんざりしている様子も窺えた。これは探偵にとっても同じような気持になることが良くあって、確かに浮気をしたマルヒが悪いとは思うが、思わず同情することもままある。ただ、そんな妻にしたのは誰~れ。になるのだが。

探偵日記

12月 21

探偵日記 12月21日水曜日 晴れ

今日もいい天気。だけど僕は風邪気味で心身ともに不調だ。毎日が何となく面白くない。それでも、やることはやらなきゃあならず、歯を磨いて顔を洗って家を出る。大好きな麻雀も(どっちでもいい)感じだから行かない。今日も早く帰って寝るつもり。

ロマンチックな恋の結末 29

マルヒの教授は数年前母親に死なれかなりのものを相続した。その時、教授の妻(すなわち僕の依頼人)も口出しし、夫婦と教授の姉と仲違いした。まあ、地方都市のことでもあり、とっくにバブルも終わっていたので、驚くほどのものではなかったが、それでも少々こじれたようだ。最終的に、預貯金及び有価証券の類は折半し、教授らが生まれ育った実家の家を教授が、小さなアパートを姉がそれぞれ相続した。

まだ、弁護士に依頼する前、「福田さん一緒に行って調べてほしい。」と言われ、教授の実家に赴き、家の中をざっとちらべた結果、不倫相手に関する10数年に及ぶ記録や資料が出てきた次第である。家族や周囲から(メモ魔)と揶揄されるほどの教授だったから、彼女との馴れ初めから最近のことまで、文字通りびっしりと書かれてあり、閨の様子さえ事細かに記されてあった。性格や物の考え方に加え身体の相性も良かったのだろう。教授は、ひそかにつけていた自身の日記に(人生を2度味わえた)などと書いてあった。記述に加え膨大な写真を見てみると、沖縄から北海道、数年に一度パリやニューヨーク、オランダにも足をのばしていた。「これって動かぬ証拠になりますね、持ち帰りましょう。」と、依頼人。僕は(いやそれは止めときましょう。例え夫婦でも無断で入った挙句に、ご主人の所蔵物を持ち出したら、まあ、窃盗とまではいかなくても攻撃材料にされかねません。)と宥め、(その代り、僕が特殊な方法で調査した結果判明した事実関係の傍証として必要に応じ提出しましょう。)とアドバイスし、渋る依頼人の機嫌を取りながら帰京した。------------

探偵日記

12月 20

探偵日記 12月20日火曜日 晴れ

今朝は暖かかった。NHKの予報も11月中旬並みといっている。昨夜は風邪気味だったので早々に帰宅。夜、おじやを作ってもらい薬を飲んで寝た。熱は36,4°平熱が35°ぐらいなのでやや高い。酒も飲まなかったので、朝は比較的快調。ご飯も美味しく食べて10時過ぎ事務所へ。そして懲りない僕は今夜は遅くなる予定。(笑)

ロマンチックな恋の結末 28

その弁護士事務所は小奇麗で、まだ独立して間もないような印象を受けた。事前の情報だと弁護士は静岡県出身で50歳の東大卒。専科は違えども自分の後輩にあたる。そんなことを思い描きながら応接室に通された。秘書の女性は想像した通りの美人である。まあ、経済的な問題ではなく、愛人をつくって妻に怒られている男として少しばかり優越感を覚えた。と、教授は呑気に考え、これから遭遇するであろう地獄の仕打ちなど思いも及ばなかった。

少し待たされたあと弁護士が応接室に入ってくる。Hです。名刺を出され、教授も自分の名刺を渡す。以後、お互いに「先生」と呼び合った。(このたびはお手数をおかけして申し訳ない。)と、教授が言えば、弁護士先生は、「いえいえ、ご依頼されればお引き受けせざるを得ませんので、失礼な物言いがあるかもしれませんがご容赦ください」と応じる。一般的に静岡の人は穏やかだといわれるが、この弁護士も人の良さそうな感じで一安心した。(いやあ、まいりましたよ。家に帰ってみたら鍵は取り替えてあるし塀も何だか忍者屋敷みたいになってて)と、ほとほと困ったという顔をして見せる。弁護士は、ちょっと苦笑いして、「そうなってましたか。お嬢さんといらっして、お二人とも相当な剣幕で」続いて、「ところで、奥様は何が何でも離婚したいとおっしゃっているのですが、先生のほうで翻意させる事は出来ませんか。」と聞いてくる。専門バカを絵にかいたような教授に上手い方法なんかあるはずもなく、出来れば今目の前に座っている弁護士に何とかしてもらいたいぐらいだ。

(当面離婚の意思はない)と主張する教授に対し、弁護士は「ご主人のお気持ちは良く分かりました。私も、何も離婚ありき。という考えではありませんから、その旨奥様に伝えましょう」ただ、どうしても調停が不能ならば「本訴」ということになるでしょうが、現状では、一発で離婚の判決が出るでしょう。長年にわたって妻を欺いた夫に勝ち目はない。それから、相手女性に対しても慰謝料の請求をするとか、離婚に伴って発生する財産分与などにも触れ、「先生もどなたか代理人をお立てになったほうが良いかもしれませんね。」と、最後通告みたいに言われその日の面談は終わった。----------

探偵日記

12月 19

探偵日記 12月19日月曜日 晴れ

昨日のサンサン会は散々だった。朝から体調が悪く力が出ないまま18ホールを終えてしまった。加えて、前の人たちがグリーン上でパットをしているときに打ち込んでしまった。仲間だからいいようなものだが〇暴だったらただじゃあすまなかった。ミドルホールでTショットをミスして、残りが185ヤード、どうせ届きっこないと思いスプーンで打ったら、ナイスショットしてグリーンをオーバーしてしまった。そのホールは寄せてパーを取ったが、前の組の人たちから「足に当たった」などと言われ、勿論冗談だが(わかった。パーティの後高級クラブに招待してやる)って、約束したので、阿佐ヶ谷でパーティの後目の前のスナック「みさほ」に5人ほど連れて行ってやった。にぎりで散々負けた上に200万円(ウソ2万円)使う羽目になった。

今朝も何となく頭が痛い。それでも気を取り直して事務所へ。遂に年賀状を書き終えた。

ロマンチックな恋の結末 27

あの~田園調布の○○ですがH先生はいらっしゃいますか。と言うと、多分美しいであろう事務員は「ハイ、○○様ですね。今弁護士と代わります。」と応じ、待つこともなく弁護士が電話に出た。年のころは50歳ぐらいだろうか、嫌みのないバリトーンの声で「あ、弁護士のHです。奥様からご依頼を受けました件、一度ご主人とお話がしたいと思っております。ご都合のよろしい時事務所にいらっしゃっていただけませんか。勿論、私のほうでご指定の場所にお伺いすることも可能ですが。」と言う。教授は悠長なことを言っていられる場合じゃあないので、(あの~もし宜しければこれから参りたいのですが)と言うと、先方は少し考えた後、「はい、結構です。それじゃあ17時に事務所のほうでお待ち申し上げます。」と言った。

まだ少し時間がある。教授はホテルの部屋で思案し、郷里に住むたった一人の姉に電話をかけ、事の経緯を説明し意見を聞いた。数年前、相続のことで多少揉めたいきさつがあって、姉とはあまり仲良くない。それでも、他に誰にも相談できないし、友人や大学の先輩とか後輩に弁護士も何人か居たが、日ごろフランクな付き合いをしていないせいもあって、いざとなると電話をすることさえ憚られた。姉は、「貴方が悪いことをしたんだからひたすら謝罪するしかないわね~」と、にべもない。相談するべきじゃあなかったと後悔したが、それでも「まあ、どうしてもの時は私が中に入っても良いから、また電話かけなさい。」と言ってくれた。
そうこうするうちに時間が迫って、重い足取りで銀座にあるという法律事務所に向かった。------------

探偵日記

12月 16

探偵日記 12月16日金曜日 晴れ

今日は風も強くなり寒い一日になる。との予報で、少し厚着して家を出たが陽差しもあってそれほどではないように感じる。年賀状もあと100枚を切って見通しが着いた。ところが、押し迫って少々複雑な案件が入り忙しくなりそうである。去年ほどではないが終わってみればいつものような状況で可もなく不可もない。昨日は、ひと仕事終わって雀荘に行き、座った途端事務所から電話がかかり、「F弁護士が連絡をくれと言ってる」との由。面子に断わって電話をすると「今、ご依頼人がいらっしゃってて打ち合わせがした」とおっしゃる。麻雀どころではない。(すぐ参ります)と言って、タクシーで日比谷まで駆けつけた。探偵は自分の時間など有って無いようなもの。(笑)

ロマンチックな恋の結末 26

考えがまとまらないまま新幹線は終点の東京駅に到着。山手線と東横線を乗り継ぎ田園調布の自宅に向かった。駅を降りて勝手知ったる道を急ぎ自宅について驚いた。道すがら自宅に何度か電話したが留守電になるばかり。温厚な教授も些か腹が立ってきた。己の非は非としてこんな仕打ちは無いだろう。弁護士が中に入るのは良しとして、夫の電話を拒否するなんて何を考えているのか。しかし、怒って居られたのはそれまで。門扉を開けようとするが開かない。見ると大きな錠前が取り付けられている。よし。と思って塀を乗り越えようとしたら鉄線が張り巡らせてあり、無理して乗り越えようとしたら傷だらけになってしまうだろう。門前で呆然として立ちすくんでいると、隣家の主婦が出てきて「あら先生どうなさいましたか」と聞いてきた。

いやまあ。と意味不明の言い訳をして、早々とその場を退去した教授は再び駅に戻り、まず今夜の宿を確保した。ここに至って、妻や娘の考えがただならぬことに気づき、事の重大さを認識したのである。ホテルのチェックインを済ませ部屋に入り、改めて封書を取り出し、恐る恐るその法律事務所に電話をする。上品な声で(○○法律事務所でございます。)応答されたが、教授には、その声さえも自分の敵に思えた。-----------

探偵日記

12月 15

探偵日記 12月15日木曜日 晴れ

今日は1月中旬から下旬の寒さだとか。雨風とともに寒いのも苦手な僕は(いいかげんにしてくれ)と、天気を怒鳴りたくなる。それでも律儀で生真面目な僕は、毎朝の支度を完ぺきにこなし事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 25

教授は、部屋に戻って封書を開き読む。予想通り、自分のしていることが妻に知れ、妻が弁護士に相談した結果らしい。あの妻が。否、あの妻だから当然の成り行きだろう。そういえば、数か月前から娘とともにあれこれ詮索していたことを思い出した。しかしよく気付いたものだ。依頼人や調査をするほうから考えれば特別なことではないが、世間知らずの教授にとって、家から数百キロ離れた場所で行ってきた秘め事がどうして判ったのか。その一点だけでも不思議でならなかった。(尾行された?)そういえば、あの福田という男は弁護士事務所の職員なのか。など、いろいろ考えてみても良い方法が浮かばない。妻や娘の携帯電話は不通になっているし、家にも何度かかけたが留守電になっていた。彼女とは今夜もう一度会う約束をしている。東京のことも気になるが、彼女と会わずに帰ることなど論外だった。

翌朝、いや、昨夜も彼女が帰ったあと深夜まで何度か東京の自宅に電話したが、あいかわらず留守電になっており妻はともかく、傍観者であろう娘も不在である。いやいや、本当は居るのにわざと電話に出ないようにしているんじゃあなかろうか。とにかく会って話をしなければ。と思い立ち、早々にホテルを後にした。-------

探偵日記

12月 13

探偵日記 12月13日火曜日 曇り夕方から雨の予報

昨日は予定が詰まっててブログも書けなかった。
一昨日の阿佐ヶ谷の居酒屋「海舟杯」コンペは、大方の予想通り僕が優勝した。12組46人(二人欠席)プレーの途中で優勝を確信したが、美空ひばりの歌にもあるように(勝つと思うな思えば負けよ)のとおり、2位、3位、との差が1ストロークで危なかった。優勝賞金の2000万円や副賞は翌日(昨日)歌舞伎町のママの誕生日の食事代で消えた。

ロマンチックな恋の結末 24

ホテルに着いた僕は夕飯を摂るため1階のレストランへ行った。食前のビールを飲んでいると件の女性がマスク姿でエレベーターに乗るのが見えた。もう証拠はいらないのだが、探偵の習い性でパチリ。日付と時刻入りだから何かの時には役に立つだろう。少し深酒をして午後11時ベッドに入る。

翌朝、部屋で待機していると、朝食のためだろうマルヒが部屋の前を通り1階に降りたことが確認できた。数分後、僕も同じレストランでモーニングを頼みマルヒの様子を観察した。月に1度か2度の逢瀬を果たし、満足そうな表情で和朝食を食べている。そして、食後のコーヒーに移ったところでマルヒの席に向かった。
(お早うございます。初めまして福田と申します。実は、東京の奥様が依頼した弁護士の使いで参りました。同席して宜しゅうございますか。)と尋ねると、教授はきょとんとした顔をしながらも「どうぞ」と言ってくれた。風貌こそ田舎のおっちゃんだが品格が感じられる応対だった。

ウエイトレスに、それまで座っていた席のレシートを渡しコーヒーを注文したあと(突然で申し訳ありません。実は郵送も考えたのですが、弁護士が先生のお立場も考えて、こうして直接お渡しすることに致しました。私はこれで帰京しますが、これをお読みになって弁護士のほうにご連絡をください。)と言って、法律事務所の名前が印刷された封書を手渡した。教授は、その聡明なお頭(おつむ)で何かしらを察したようで、「ああそうですか。それはご苦労様でした。」と言い、封書を上着の内ポケットに収めた。----------------

探偵日記

12月 09

探偵日記 12月09日金曜日 晴れ

昨日は疲労が頂点に達したような気がして、休肝日にした。阿佐ヶ谷のうなぎ屋「あずまや」でうな重を食べ、20時就寝。朝4時半気持ち良く目覚めたので、当番ではなかったがタイちゃんを連れて散歩に出る。10時家を出て所用を済ませ事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 23

勝手知ったる尾行だ。調査員のO一人がマルヒと同じ新幹線に乗り、お昼前田沢湖畔のホテルに着いた。1年に30泊はするだろう馴染みの宿泊客として迎えられる。但し、Oの役目はここまで。Oから報告を聞いた僕は午後の新幹線に乗った。目的は、弁護士が作成した「通知書」を、直接本人に手渡すためである。どうせ今晩も女性は訪れるだろう。しかし、実際に手渡すのは翌朝にしよう。その前に通知書を読んだりしたら折角の気持ちが萎えてしまうかもしれない。マルヒも離婚など考えていないことは手に取るように読めた。まあ、(武士の情け)というか、同性の思いやりみたいなものだ。

通知書の内容は比較的簡単なもので「マルヒ宛に、私は弁護士のHと申します。このたび、貴殿の配偶者OX殿の依頼で、貴殿との離婚及び、貴殿の不倫相手T氏に対する損害賠償の手続きを進める選任を命じられました。つきましては、一度お目にかかってお話ししたいと思いますので、貴殿のご都合をお知らせください。なお、当文書をお読みいただいた日より、ご自宅に戻ることや、直接奥様に連絡をしないこと、を、求めます。今後の連絡その他は代理人である本職を通じて行ってください。」と書かれてある。要するに、弁護士が代理人となって、夫婦の離婚、離婚に伴う財産分与や不倫相手にも慰謝料の請求をいたします。という、妻からの宣戦布告を行ったのである。手法はやや変則的ではあるが、同居中の夫婦の場合致し方ないのかな。と思った。--------------

探偵日記

12月 08

探偵日記 12月08日木曜日 晴れ

昨日も少し飲みすぎた。といっても元来酒に弱い体質なので、量的には大したことは無いのだが、ビール、ウイスキー、焼酎、という風にちゃんぽんしたからか。それでも、10時前に事務所に来た。今日は依頼人の女性を事務所の顧問弁護士の所に連れてゆく予定があり、持参する報告書を整理する必要もある。年賀状も少しは書きたい。12月(師走)は何かと気忙しい。

ロマンチックな恋の結末 22

当時、小社には2人の顧問弁護士が居た。依頼人の希望で訪問しやすいH弁護士に決め母娘と同行した。相手女性に慰謝料を請求しても支払う能力は無いだろう。ただ、このような場合、陰でマルヒが負担するものだから究極のところ、依頼人の取り分が減ることになる。(それでも請求したい)というのが依頼人の心情だったから、家裁への離婚の申し立てと並行して行うことになった。最初から、(丸裸で追い出してやる)前提なので、弁護士もう~ん。と、当惑せざるをえない。全く無茶苦茶な言いようで一般常識から大きくはずれている。そこで一計を案じ、次に教授が天体観測に出かけるタイミングを計って、秋田のホテルに絶縁状が着くようにしよう。ということになった。

教授が家を出るや否やすべての鍵を交換する。教授の私物は有明のトランクルームに預ける。塀を乗り越えて侵入できないように鉄線を張り巡らす。などの指示があり、総てを探偵の僕が請け負うことになった。勿論作業は調査員や専門の業者に発注することとして、諸々の費用として可なりの額を依頼人が負担する。

某日、そんな企てを妻や可愛い娘が立てていることを露にも知らず、教授は嬉々とした顔で自宅を出て新幹線に乗った。------

探偵日記

12月 07

探偵日記 12月07日水曜日 晴れ

僕の中では、少し雲があっても雨さえ降らなければ晴れ。昨夜は東京調査業協同組合の定例理事会のあと、忘年会を催した。天ぷらやで食事した後、クラブへ。みんなと別れた後ちょっと寄り道して12時に帰宅。それでも飲んだ量が少なかったのかなかなか寝付かれず何度もトイレに行った。
10時半事務所へ。せっせと年賀状書きをするもまだ150枚しか書けてない。宛名も印刷にすればよかった。と反省するが後の祭り。

ロマンチックな恋の結末 21

そうして、今回の調査で証拠は揃った。映像のほかに音声も取れてほぼ100パーセントの出来だ。女性の身元調べも終わって報告書が完成した。依頼人に連絡して報告日を決める。すぐに聞きたいという母娘の希望で、その日の夕刻、自由が丘駅の近くにあるという喫茶店で落ち合った。報告書は今後の訴訟用に2部作成。二人は食い入るように読んでいる。母親の様子を窺うと、女性の近影を憎悪の眼差しで長いこと見つめ、僕に向き直った時は夜叉のような顔になっていた。「どうしましょう。勿論離婚ありきですが素っ裸で叩き出してやりたい」と言えば、娘も負けじと「お母さん。お父さんの保険や年金はどうなっているの。貯金だってかなり有るはずよ」と捲し立てる。

僕はそんな母娘を宥めるように(確かにご主人は有責配偶者として相応の責めは負わなければなりませんが、夫の浮気が原因の離婚でも、その点の慰謝料何て僅かです。例えば、俳優の松方弘樹が妻に数億円支払ったという記事がありましたけど、あれは財産分与で、基本的には夫婦で折半が原則です。)と説明した。しかし二人は承知せず(裸で出てもらう)と言い張る。僕はそんな二人に(まあ、僕も専門家ではありませんので弁護士の意見を聞いてみてください。どなたかご存知の弁護士はいらっしゃいますか。)と聞くと、「居ません」とのこと。(じゃあ事務所の顧問弁護士を紹介しますから一度会ってみてください。)と言い、その場から弁護士に連絡し、面談の予約をして母娘と別れた。----------

探偵日記

12月 06

探偵日記 12月06日火曜日 晴れ

昨夜は良く寝れたのですっきりとした朝を迎えた。10時事務所へ。
今日は12時半にリピートのご依頼人と面談の予定。若い社長なので所長に同行してもらうことにした。その後、16時から組合の理事会と忘年会。二次会は???

ロマンチックな恋の結末 20

二人はその後、今日まで、或る時は東京で、また或る時は沖縄で。というふうに、主に、女性の都合に合わせる形で続けられた。知り合った当時、女性の夫は建設部品を販売する小さな会社を経営していたが、社長の夫が病弱なうえ、バブル崩壊後の長引く不況のあおりを受け赤字経営を余儀なくされていた。女性も親族などから借金を重ね、角館行きも休暇を楽しむ旅行などではなく、秋田市内の義兄に無心をするためのものだった。そんな時、教授と知り合ったのだが、教授の風采はともかく、知性に惹かれたらしい。女性の夫は義務教育を終えた後、建設機械や部品を扱う会社に入り、やがて独立し、一時はたいそう羽振りも良かったそうだが、まともに字も読めず、請求書などは、東京の大学を卒業し、その後就職した会社で経理を担当していた経験を持つ妻の彼女が担当していた。

加えて、体の弱い夫は夫婦生活も淡白で、女性は自身も気づかないうちいろんな面での不満が増殖されていたようだ。「死ぬまで愛し合おう」二人は会うたびに確認し合った。その後、病弱な夫は60歳にもならない若さでほとんど寝たきりの状態になり、それはそれで、二人の逢瀬に制約が生じ、長く外泊できない女性に合わせて、教授が(星を見に行く)口実で秋田まで出向く形が出来上がったのだった。そうして、家人の不審を招き、主に教授の娘の主導で探偵が介入することになった。-----

探偵日記

12月 05

探偵日記 12月05日月曜日 晴れ

携帯電話を変えてから何となく体調が悪い。ような気がする。風水ではないが、僕には合わない機種なのかもしてない(笑)12時前事務所へ。
今日はかって阿佐ヶ谷に有った「旬彩成海」が、赤坂に移転、新規オープンする日。招待されているので夫婦で行くことになっている。大衆的な街阿佐ヶ谷から、高級店が競う赤坂へ。頑張って欲しいものだ。

ロマンチックな恋の結末 19

駅前からタクシーでホテルへ。車中でも大いに話が弾み、どちらかともなく別々に予約してある部屋を一つにしようという、暗黙の了解も出来ていた。ただ、いきなりフロントで事情を話すのも変なので、女性の予約をキャンセルした。その頃には、お互いの自己紹介も済んでおり、何しろ根っからのまじめ人間である教授は女性に名刺を渡し、女性も(夫や子供も居る)身分を明らかにした。二人とも、このふってわいたような出会いを、束の間の幸福に思い、震えるほどの一夜のアバンチュールを体験できると興奮の坩堝に陥った。

部屋に入った二人は、どちらともなく抱き合い、飽くこともなく互いの口をむさぼった。翌朝、モーニングを食べながら、教授が(もう少し一緒に居たい)と言うと、女性も「今夜一晩ならご一緒できます」と応じ、田沢湖を周遊した後、山形に入り、その夜は天童のホテルに落ち着いた。東京に勤務先も家もある教授と、ひと時の休息を求めて一人旅に出た人妻は、二日目の夜を共にするまでは、本当に仮初の恋で終えるはずだった。それから十数年関係が継続するとはーーーーーー

探偵日記

12月 02

探偵日記 12月02日金曜日 晴れ

昨日、携帯をスマホからアイホンとやらに変えてみた。いわゆる機種変である。前のがちょうど2年経っており、ポイントも4万円以上付いていた。とにかく新しいもの好きの性分は健在だ。しかし、今まで重宝していたLAINが消えて大いに困った。最初、担当者に(今までと使い勝手が大きく変わることはありませんか)と聞いたのに、「同じです。」と即答し、LAINは使えなくなるなんて一言も言わなかったし、総てにおいて違う。まあ基本的には同じようなものだろう。と高をくくっていたが、慣れるまでひと苦労しそうだ。その後、ビックカメラに行って、フイルムを貼ってもらいケースも買った。(笑)

ロマンチックな恋の結末 18

優雅に微笑む女性。大学で女子学生たちから(変なジジイ)と陰口をたたかれるほど朴念仁の教授は、まさか未知の町で、女性、しかも妙齢のすこぶる美しい人から声をかけられるなんて夢にも思わない。どう対応すればよいのか分からないまま、そこは年の功で、落ち着きのある中年紳士然とした感じで、(あのう、どこかでお会いしましたか)と応じた。女性曰く「先ほど駅前の喫茶店にいらっしゃって一杯でお入りになれなかったでしょう。わたくしあのお店に居りましたの。それでまたここでお目にかかったのでついお声をかけました。ご迷惑でしたか。」少し訛はあるものの標準語に近い綺麗な言葉で返され、次の言葉が見つからないまま(ああそうでしたか)と言うのがやっとだった。

人の縁、とりわけ男女の出会いなど、俗に(合縁奇縁)というが、二人の馴れ初めはほんのちょっとした女性の気まぐれみたいなひと言から始まった。そのあと、自然な感じで「わたくしそちらに移って宜しいかしら」と言われた教授は、どぎまぎしながらも(ああどうぞ)と言ってしまった。会話が弾み、お互い旅行者であることが分かって、しかも、女性は「今夜秋田市内のUホテルに泊まる予定ですの」と、教授が予約しているホテルの名前を告げた。実は僕も。と、思いがけない偶然に大いに盛り上がったのである。

ここまでいけば、じゃあ。と言って別れる男女はいないだろう。喫茶店を出た二人は、昔からの馴染みのごとく、誰が見ても同伴の旅行者に思えるほどの雰囲気をまとい在来線に乗った。-----------

探偵日記

12月 01

探偵日記 12月01日木曜日 雨のち晴れ

最近タイちゃんの調子が良くない。今朝も僕を起こしたのは6時前、外に出ると本降りの雨だった。例によって高架下へ行くがとぼとぼと歩き、小一時間たってもウンチをせず、帰りたがる。ところが家に入るとご飯に飛びついたので少し安心する。9時、家を出て地方からのご依頼人と待ち合わせをしている帝国ホテルへ。11時半、事務所に戻る。タイちゃんだけじゃあなく僕も熱っぽく何となく怠い。なにしろ、僕たちは同い年だから。

ロマンチックな恋の結末 17

方々に武家屋敷はあるが、角館のそれは全く印象を異にする。例えば、山口県の萩など下級武士らが住んでいたと思われる長屋で、塀は子供でも飛び越えられるぐらい低く、(大丈夫かな)と、思うぐらい不用心である。ところが、角館は家老職以下、要職についていた者たちの屋敷群でかなり見ごたえがある。砂利道の両側に鎮座する家々はみな豪壮で堅固であった。教授は一通り見物した後、秋田市内のホテルに戻るため駅に向かった。喉が渇いたので冷たいものでも。と思って、喫茶店を探す。先刻、一杯です。と言って断られた店を避けて、駅から少し離れた店に行くと、幸い座れる余裕があった。やれやれと思いながら隅の席に着き(コーヒー)を注文した。

朝早く出たし、良く歩いたので少々くたびれたかな。などと考えながら運ばれてきたコーヒーをブラックで飲み、先ほど見物した屋敷のその時代の情景を想像し、角館の昔に思いを馳せていると、思いがけず、横の席座っている婦人に声をかけられた。「あの~先ほど駅前の喫茶店で入れなかった方ですよね。」最初はまさか自分に向けたものとは思わなかったが、声のほうをに顔を向けると、年のころは40代後半と思われる美しい女性が微笑んでいた。------

探偵日記

11月 28

探偵日記 11月28日月曜日 晴れ

今日からまたタイちゃんの散歩を、月~木と義務付けられる。5時半、眠い目をこすりながら外に出る。路面は濡れたまま。それでも駅から商店街を1時間15分歩いた。8時、朝食。10時に家を出て事務所へ。
調査員から報告を聞く。ちょっと難しいかな~と思っていた案件がいい形で終えたとのことひと安心する。

ロマンチックな恋の結末 16

新幹線で秋田まで行き、在来線で数駅戻って、午後早めに角館に到着。微風快晴絶好の行楽日和、駅前は地方に良く見られる風情で、ロータリーには観光名所に向かうバスの発着所が数か所見られた。朝、新幹線に乗る前、サンドイッチとコーヒーで軽く済ませたので小腹が空いた。今夜は秋田市内のホテルを取ってあるのでゆっくり食事ができる。日々の生活の中で、通勤の途中寄り道もせず、ましてや女性のいる飲食店など入ったこともない。趣味は研究と食事。でも食事といっても決して美食家ではない。ただ、沢山食べて満腹感が味わえればそれでいい。だから、夜ホテルでどんなものが出てくるか大いに楽しみである。見回すと、ロータリーの向こうに小洒落た喫茶店が見えた。あそこでスパゲティでも食べよう。と思って、その店に向かった。

なにしろ角館といえば、県内はもとより遠く東京からも大勢の花見客が訪れる桜の名所だ。この日も街中はそれらの人たちで溢れている。特にご婦人が多いのに驚いた。まあ、GWが終わった平日である。男どもは職場に復帰したであろう。暇を持て余すのは高齢者、それも女性たちが圧倒的に多いという現実を、起きている時間のすべてを宇宙に囚われているような人間は知る由もない。やがて目当ての喫茶店にたどり着き、おもむろにドアを開けてまた驚く。店員の「すみません満席です」と言う声を聞くまでもなく、立錐の余地もない情景を目の当たりにして、すごすごと外に出た。食べれないと分かると余計に空腹を感じ、仕方なくコンビニ弁当で済ませ武家屋敷に向かった。----------

探偵日記

11月 24

探偵日記 11月24日木曜日 雪

早朝5時、タイちゃんを連れて外に出ると本格的な雨。気温も低く予報通り雪に変わるだろう。30分ちょっとで帰宅。次に目が覚めた時は案の定大粒の雪が隣家の屋根に積もっていた。支度に手間取って10時半家を出て11時に事務所へ。今日はこの後、報告が1件あって、2時半、依頼人と面談の予定。夜は銀座。

ロマンチックな恋の結末 15

十数年前、本郷にある勤務先に籍を置いたまま、某私大の客員教授となって、時間の余裕は出来たものの、何となく張り合いを無くしたような日々が続き、5月上旬の或る日、数日の休暇を取って小旅行に出かけた。思えば、26歳で大学院を終え、そのまま母校の研究室に残り、四半世紀を過ごしたことになる。その間、美しい妻を娶り1男1女の子ももうけた。自宅は、父の残してくれたものだが、人も羨む田園調布の一等地にあり、決して華美ではないが、敷地の広さのせいで辺りでも目立つ。しかし、どこでもそのようだが、子供たちは好き勝手に生きており、父親の意見などどこ吹く風の態。妻も、よそ様の奥方と違って着飾って出歩くようなこともない代わりに、夫の所作にいちいち文句をつけ、口答えすれば1か月でも2か月でも会話が途絶える始末。日々のことは妻にしかわからないことが多く、不本意ではあるが折れざるを得ない。大学での行く末も見えてきた。鬱々とした毎日だった。

漠然と旅に出よう。と、思い、何となく(そうだ角館に行こう)と思い立ち、GWが終わった5月7日車窓の人となった。この気まぐれの小旅行が、自他とも認める「朴念仁」の教授の生き様が大きく変わることになろうとは。-------

探偵日記

11月 22

探偵日記 11月22日火曜日 晴れ

朝4時50分、タイちゃんが(ワン)と一声吠える。少し前から目が覚めていた僕は、毎度のことながら、やれやれと思いながら起きる。長い廊下を歩き(うそ、5歩で行ける)隣の部屋を開ける。5時、外は雨。傘をさして高架下へ。25分で散歩終了。手を洗ったり水を飲んだ後ベッドにもぐりこんだ途端グラっときた。少し大きいなと思ったら震度3という。いっそのこと15ぐらいのやつが来ればさっぱりするか。
11時、事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 14

女性がしきりに昨夜来れなかったことの言い訳をし謝っている。マルヒは「ああそう。それは大変だったね。さあさあシャワー浴びていらっしゃい」と急かし、女性は浴室に入ったらしい。間もなくテレビの音に混じってシャワーの音も聞こえた。女性がマルヒに話した内容によると、夫の状態が悪くなり出るに出れなかった。と言う。これで、女性に夫が居ること、その夫は長く患っていること。などが推測された。夫が家に居れば泊まることは無いだろう。Oがホテルの駐車場に行くと、新たに、いかにも女性が乗りそうな秋田ナンバーの軽自動車が駐車されていた。この後、隣室で繰り広げられる痴態をテープに収め、女性の帰宅を確認すれば調査の9割は終了する。

シャワーを終えた女性を迎え戦闘開始。ベッドのきしむ音に加え二人の睦言に続いて喘ぎ声が入る。ほとんどの人が男女のSEXをじかに見ることは無いだろうし、よほど変態のマニアでない限り声を聞くこともないだろう。その点、探偵はこんな役得がある。3人は神妙な面持ちで聞き入った。----------------

探偵日記

11月 21

探偵日記 11月21日月曜日 曇り

昨日の日曜日は「サンサン会」の日。身内の不幸や仕事の関係で参加できない人が2人出て、総勢12名3組のコンペになった。スタート前までは霧が出て、どうなることか気に病んだが、その後は風も無く絶好のゴルフ日和。優勝者は風で数日寝込んだというFさん。といっても勿論僕ではない。準優勝も無印のHさん。馬券は4-8で、大穴。それをゲットしたTさんの奢りで二次会は駅前のスナック「みさほ」へ。秋田出身のハチャメチャなママに、うるせーとか、おめえ、もう来るな帰れ。などと言われながら数曲づつ歌って帰宅。(口は悪いが気持ちは良い)ママだとか。でも知らない人は怒り出すかも。

ロマンチックな恋の結末 13

夜になった。マルヒは早めの夕食を済ませ部屋に閉じこもっている。調査員らは206号室に集まって、やがて訪れるであろうマルヒの不倫相手を思い描きながら興味津々といった感じで待っている。探偵がもっとも緊張する場面だ。Oが、「あのジジイの相手じゃあしれてるよな~」と言えば、Nが「お前たち、男は顔形じゃあねえぞ。」(うちのボスを見てみな)と言ったかどうかわからないが、さすが年上だけあって経験も豊富なNがOを窘める。隣は、今か今かと気もそぞろ。こっちは緊張の中にも和気藹々と楽しく待っている。

午後6時05分、廊下を忍びやかに歩く音がして、205号室が小さくノックされた。マルヒは飛びつくように部屋のドアを開け、大きな声で「ありがとう良く来たね」と言って女性を招き入れる。Nは録音機のスイッチを確認し集音マイクを耳に当てる。----------

探偵日記

11月 19

探偵日記 11月19日土曜日 雨のち曇り

昨夜も午前様だったし、今朝は雨なので恒例の朝練は中止。ジムもさぼった。ただ、朝ごはんはいつもどおり8時に美味しく食べ、またベッドでゴロゴロ。正午車で出かける。事務所に来てみると、お休みのはずの高ちゃんが居るのでビックリ。聞くと、決算の事務処理が進まないので急遽出勤したとか。調査員たちも現場で張り込み中。本当にご苦労様である。

ロマンチックな恋の結末 12

夜中の2時、205号室のドアが開く音がした。203号室の若い調査員が気づき、飛び起きてドアを薄く開けて様子を見るとマルヒが出かけるところだった。他の部屋に知らせる間もないので、寝巻の上にジャンパーを羽織って、玄関上のガラス窓から見ると、マルヒはホテルの駐車場の隅で空を見上げていた。田沢湖の初秋は夜ともなれば、かなり気温が下がって、建物の中にいても胴震いするほどだ。マルヒも沢山着込んではいるが長時間は無理だろう。と、思って見ていると20分少々でその場所を離れホテルに戻ってきた。自室入り何やらごそごそしていたが、間もなく静かになった。
翌朝6時、軽装で部屋を出たマルヒは1階の食堂に下り朝食を摂るとすぐに部屋に戻った。その後、湖の周辺でも散策するのかと思っていたが、昼食も摂らず部屋にとじこもっているばかり。調査員が集音器を耳に当ててもテレビの音が聞こえるだけで、マルヒが何をしているのかさっぱりわからないまま夜になった。若い調査員が二人に昨夜の様子を話すとNが、「変なジジイだよな~あれで本当に浮気してるんだか」と言えば、もう10年調査員をやっているOも「女房の思い過ごしじゃあねえか」と混ぜっ返し、三人は隣室に聞こえないように大笑いした。良く(惚れた弱みで痘痕もエクボ)と言うが、そんなものかもしれない。しかし、三人とも決して配偶者の「勘」を甘く見ているわけではない。所長も言っていた。「今度の依頼人は教養も知識レベルも高い。そんな女性が確信を持って言うんだからマルヒは必ず不倫している」と。-----------

探偵日記

11月 17

探偵日記 11月17日木曜日 小春日和

小春というのは旧暦でいうこの頃のことらしい。風が無く晴れて暖かい日を「小春日和」という。日本字の表現はまことに素晴らしいし、美しい。と、つくづく思う。そして、美しくも素敵もない僕は昨夜の深酒が祟って起き上がれない。それなのに、今日に限って、4時半に我がままタイちゃんに散歩をせがまれ、まだ暗い阿佐ヶ谷の街に彷徨い出た。11時事務所へ。


ロマンチックな恋の結末 11

隣室からマルヒの声が聞こえた。「うん、ああそう。分かった。今日は来れないのね。じゃあ明日待ってる。」携帯電話で話しているので相手の声は聞こえないが、訪問者は今夜都合が悪く明日になったようだ。ただ、何時に来るのかわからない。相手は時刻を告げたのかもしれなが、マルヒが復唱しないので見当もつかない。テレビの音が消えマルヒが部屋を出た。夕食を摂るのだろう。調査員1名が少し遅れて部屋を出る。2分後、「1階のレストランに入りました」との報告が来る。調査員らは時間差をつけてそれぞれレストランで夕食を済ませることにした。
マルヒはビールを1本飲んだ後、海老フライ定食を注文し、小一時間かけて食べ、その後何処にも寄らず部屋に戻った。チーフのNからその報告を聞き、早速依頼人に電話をかけその旨を報告した。今日はとりあえず女性との接触が無いこと、多分明日ホテルに来るだろうことなどを簡略に話した。依頼人は「ああそうですか分かりました。ご苦労様でした」と、何の感情も見せずに電話を切ったが、僕と話している間、傍に居るであろう娘に聞かせるような気配がした。部屋に戻ったマルヒはしばらくテレビを見ていたようだが、間もなく何の音もしなくなった。早々に休んだらしい。----------

探偵日記

11月 16

探偵日記 11月16日水曜日 晴れ

昨日は少し長く運転をして疲れたので、夕飯も摂らず19時にベットへ。02時半目が覚めたがまたすぐに寝て、06時迄ぐっすり。その後も布団の中に留まってモジモジして、08時(ご飯ですよ)と起こされる。良く寝たのとアルコールを抜いたせいかちょっぴり元気になる。10時過ぎ家を出て事務所へ。今夜は飲む予定がある。明日もボジョレーの解禁日、例年、阿佐ヶ谷のレストランで開催される。しかし、友人のこのレストランも来年2月でクローズ。サンサン会のパーティ会場が無くなる。

ロマンチックな恋の結末 10

やがてバスは終点の田沢湖に到着。バスを降りたマルヒは、駅前のコンビニで飲み物と軽食を買い、しばらく駅前の椅子に座ってぼんやりしていたが、やがておもむろに立ち上がって歩き始める。およそ30分後、湖畔からかなり入ったところにあるホテルに入った。調査員が玄関で様子窺うと予約をしていたらしく、すぐに係の女性に案内されて部屋へ向かった。係はご丁寧に(お客様の部屋は205号室です)と告げてエレベーターに乗った。長く探偵をやっていると、稀にこんな幸運に恵まれることがある。もし、係の女性が部屋番号を言わなければマルヒの隣室に入るために一苦労する。
調査員からこのことを聞いたチーフのNは、携帯電話で203と206,208の3室を予約した。シーズンオフの平日だ。簡単に予約が取れて、駅前の食堂で腹ごしらえした後、3人はそれぞれの部屋に落ち着いた。206号室を作戦会議用の部屋に決め、盗聴器をセット。隣室の様子を窺うとマルヒはテレビを見ているようで話し声などは聞こえてこない。果たして女性は現れるのか?------------

探偵日記

11月 14

探偵日記 11月14日月曜日 曇り

昨日は最高のゴルフ日和。10月はうっかり予約するのを忘れ不参加だったので、2か月ぶりの月例。この日は、14組56人で競うことになる。結果は、予想した通り。特にパッティングが悪く、18ホールで39パット。それでも同伴者は「上手いですね~」と言う。1ミリでも入らなければ1ストローク。僕のスコアはパット次第。30そこそこならば上位に行ける。夜は阿佐ヶ谷のフレンチでワインを飲んでバタンキュー。
今日は診察の日。3日前に検査した結果を聞きに駅前のクリニックへ。変化なし。ドクターも言うことが無く「年末年始飲む機会が多いでしょうから気を付けて」で終了。調剤薬局似寄って山のようなクスリを貰い事務所へ。

ロマンチックな恋の結末 9

新幹線盛岡駅で降りたマルヒは、しばらく駅前でぼんやりしていたが、やがて思い出したように携帯電話を取り出し、相手と話し始める。「ああ、僕です。今盛岡に着いた、うんそうする。じゃあ夜部屋に来るね。あ、そう、うん待ってる。」自宅から数百キロ離れた解放感からか、辺りをはばからぬ大きな声で。まあ、他の人が聞いても訝しく思う人はいないだろう。友人との会話かもしれないし、この本人のやり取りを、特別な思いで聞いているのは旅行者を装って何気なく景色を見ている3人の男たちだけだろう。やがてマルヒはロータリーに停車中の田沢湖行きのバスに乗り込んだ。
調査員の一人は、チーフのNに命じられ、新幹線が盛岡駅に着くや否や猛スピードで走り、改札を抜け、駅前のレンタカー店に駆け込み車を確保した。マルヒが盛岡までの切符を購入したことを知り、すぐさま予約を入れておいた。もう慌てる必要はない。交通量の少ない国道46号線をゆっくり追尾して行けばいい。ここまでは予測できている範囲の尾行である。この後マルヒはどんな行動をとるのだろうか。依頼人の話だと、「夜空」を見るのが唯一の趣味らしい。牌と酒で爛れた生活をしている僕には理解不能な人物だが、ちょっぴり羨ましくもある。
バスはやがて雫石を通過した。---------------

探偵日記

11月 10

探偵日記 11月10日木曜日 晴れ、遅くなって雨になるとか。

昨日のゴルフは風との戦いだった。高く上げると風に乗ってOBになった。午前中パットに苦しみ、仲間内でもかなり評価されている僕がなんと22パット。当然ながらスコアもいまいち。午後、少し良くなって、結果は準優勝。
朝、8時過ぎに顧問先の社長から電話「福田さん地田先生が亡くなったのをご存知ですか」と言う。僕は、社長が何か勘違いしているのだろうと思って、(いや、先日お会いしましたよ)と言うと、「そうなんです。僕も数日前にお電話で話したばかりなんです」との由。2日前突然倒れてそのまま亡くなったという。実は、その弁護士さん、先月31日に行われた小社の顧問弁護士の告別式でお会いしたばかり。顧問弁護士も「じゃあ裁判所に行ってくる」と言って、事務所が入居するビルのエレベーターに乗り、1階で倒れてそのまま帰らぬ人となった。式場でお会いした地田先生と(驚いたね。お互い気を付けましょう)と言って別れて、まだ10日しか経っていない。70歳を超えると(何があってもおかしくない)のだとしみじみ考えさせられた。(合掌)

ロマンチックな恋の結末 8

そんなことがあった今日、これを書きながら(あの大学教授生きているんだろうか。そして依頼人も)などと考えながら、尾行調査初日の顛末を思い出した。上野駅から新幹線に乗ったマルヒは、キヨスクで駅弁を購入。調査員は、さっきも何か買ったはずなのに。と、思ったようだが、後で依頼人に報告したところ、「あの人は大食いなんです」と、憎々しげに言う。マルヒは指定席に座るとすぐに家の近くで買ったと思われるサンドイッチをほうばり、再び読書に没頭した。仙台の手前で駅弁を食べ始め、次の盛岡で下車。前もって行き先を聞いていた調査員らは、あらかじめ盛岡までの乗車券を持っていたので、慌てることもなくマルヒに続いた。----------

探偵日記

11月 08

探偵日記 11月08日火曜日 晴れ後雨らしい

今朝の散歩はダウンにマフラーで防寒した。タイちゃんは1年中毛皮のコートを纏ってるので寒さ知らず。と思いきや、女房の布団にもぐりこむところを見てしまった。85キロの下敷きになってケガをしなきゃあいいけど。(笑)明日はゴルフの予定なのにもっと寒くなるらしい。嫌だな~ 特に明日のコンペはお年寄りが多い。最年長86歳。以下、80代2名。70代、僕を含めて4~5名居る。しかし、この年代の男はみな頑丈である。

ロマンチックな恋の結末 7

調査当日、〇月×日月曜日午前6時、4名の調査員は尾行用車両で現場に到着。マルヒの家を一回りしてそれぞれの配置に着く。キャップは年長のN。張り込むこと1時間、07時ちょうどに玄関の開く音がして、門の脇にある小さな開き戸からマルヒが姿を現した。用意した写真を見るまでもなく本人であることを確信する。この日のマルヒは地味なスーツにリュックを背負い、手に暖かそうなハーフコートを持っている。夜空を観察するのに必要なのだろう。3泊4日の小旅行らしい出で立ちと言えた。

少し前かがみになってゆっくり歩き、途中、コンビニで軽食と飲み物を買い、7時16分、田園調布駅に着いた。すでにラッシュが始まっており、少し混んでいる電車に乗る。依頼人が言っていたように、渋谷で山手線に乗り換えた。車内では何やら難しそうな本を読んでいる。Nは、(女に会いに行くっていうのにちっとも嬉しそうな顔をしていません。)と、後刻報告してきた。-----------

探偵日記

11月 07

探偵日記 11月07日月曜日 晴れ

新しい週が巡ってくるのが早い。5時50分、タイちゃんの散歩に出る。夏は4時前から騒ぐのに、少しづつ遅くなり、この季節は6時を回ることも少なくない。犬の体内時計に合わせて人間の僕も生活のリズムを変えなければならない。今日は元気に1時間10分歩き、珍しく嫌がらずに帰宅した。僕は1時間ベッドで横になった後、朝ごはんを食べて事務所へ。今日から銀座で、30年間お世話になっている顧問税理士のK先生の個展が始まる。趣味が高じて画伯になった。僕はシニアのプロゴルファーになろうかな。パー100ならば。

ロマンチックな恋の結末 6

依頼人と会って調査の依頼を正式に引き受けた翌日、日曜日で、恒例の買い出しに伊勢丹に行く。グレープフルーツやお味噌を買って(ああそうだ)と思い、明日から始まる尾行調査のマルヒの自宅を内偵することにした。内偵といっても近所を聞きまわるわけではない。いわゆる「地取り」で、調査をスタートさせる現場を、何となく見る程度である。「家を見る」ことは重要で、一見するだけで、その家庭の状況が判り、ともすれば、そこで暮らす人々の性格や思考まで推測できることもある。
田園調布の教授宅は、純和風の2階建てで、びっくりするほどの豪邸ではないが、当主の職業や人となり、また、依頼人である妻の心構えが感じられた。決して華美に至らず何気ない所にお金をかけていた。大通りから少し入った閑静な立地で、駅まで徒歩で5~6と、交通の便も悪くなかった。「主人は歩いて駅まで行き、渋谷で山手線に乗り換え、上野から新幹線に乗ると思います。」そうならば、家を出たマルヒは大通りを右折するはずだ。調査員は4名、うち一人は車両係で、最寄の駅でマルヒを見送ったら事務所に帰って来ることになっている。間違っても見落とす心配のない尾行だ。----------

探偵日記

11月 04

探偵日記 11月04日金曜日 晴れ

朝10時、事務所に行くため家をでた。空気がひんやりして気持ちいい。最近何時もそうだがゴルフの翌日は何となく気怠い。加齢のせいで疲れが翌日まで残ってしまう。数年前まで、6~7日連ちゃんでプレーしたこともある。さみしい限りだが現実を認めるしかないだろうとも思う。
事務所に着くと事務の高ちゃんが居るだけで誰も居ない。みんな現場に行ったらしい、それはそれで結構なことだ。僕ももう一度、被調査人が不倫相手と思われる人物と接触する場面に至る、あのワクワクする刺激を味わってみたい。

ロマンチックな恋の結末 5

母娘は目の前にいる僕のことを忘れたかのように、これからの行く末に思いを馳せ、やや興奮気味に語り合っている。「証拠を突きつけられたら暴れるんじゃあない?」と娘が言えば、「だからその時は私たち家を出てればいいでしょう。ホテルかなんかに泊まって」と母親。もうすっかり動かぬ証拠が手元にあるかのように。僕が口をはさむ(そうですね。その時は緊急避難するのも一つの方法かな。だけどまだはっきりしたことは何もわかって居ないんだから、まずは、調査をしてみてこれからのことは考えましょう。)すると、母親のほうはハッとしたように、それから少しきまり悪そうに笑って、「そうよかおりさん。まずは明後日尾行してもらってからよ」と言った。まあ、二人の間では既成の事実のように思っているかもしれないが、稀に依頼人の思い過ごしということもある。母娘の話を聞く限り疑いの余地は無いようにも思えるが、果たして、二人が考えるような「熱愛」状況かどうか疑問である。少なくともマルヒの写真を見てそう思った。
天文学の教授であるマルヒは毎月のように某県の山に籠って星を見るのが趣味だという。そして、今月はその日が明後日だと。------

探偵日記

11月 02

探偵日記 11月02日水曜日 曇りのち晴れ

今日は12月上旬の陽気だというが、朝5時半に外に出た時はさほど寒いとは思わなかった。水曜日、事務の高ちゃんがお休みなので10時に事務所に到着。14時に報告が1件あり、パソコンに向かう。明日は久しぶりのゴルフ。歯科医の友人らと八王子の相武CCへ。

ロマンチックな恋の結末 4

「これが父の写真です」娘が自分のバッグから3枚の写真を取り出しテーブルに置く。(お預かりします。勿論調査が終わったらお返ししますからね)と言うと、母親が「そんなもの返して頂かなくても結構です。棄ててください。」眉間にしわを寄せて吐き出すように言う。僕は、それには応えず写真をながめた。もうほとんど頭髪は無く、眼鏡をかけた丸顔で好人物そうな初老の男が写っていた。目の前に座る、小股の切れ上がったちょっと粋な感じのする女性の夫としては些か不釣り合いな印象を抱いた。確かに地位も名誉もお持ちだろうが、こんな男を好く女性が居るのだろうか。僕は自分の容姿を棚に上げそう思った。依頼人の妻は、この夫との結婚が気に染まず、長い間悔やんできたのではなかろうか。そして、そんな夫婦生活に諦めと安堵を覚え始めた今になって裏切られた。自分の我慢は何だったのだろうか。(蓼食う虫もすき好き)とはいうが、(こんな不細工な夫を愛す女性が居るんだろうか。)僕の感想とは別に依頼人もそう考えているのではないだろうか。余談だが、僕の妻は、繰り返す僕の浮気について、(貴方は、貴方の家の血統のせいだから仕方ないわね)と言って放り出しているけど。(笑)果たしてこの依頼人がそんな心境になれるだろうか。-----------

探偵日記

11月 01

探偵日記 11月01日火曜日 雨

朝の散歩は本降りの中、しめしめ。と思っていたら案の定25分程度で終了。タイちゃんもつまらなかったのだろう、高架下を往復しただけで帰宅した。シャワーを使っていたら調査員から電話。3か月以上かかった調査がやっと報告出来る状況になった。早々に支度して機嫌良く事務所へ。顧問弁護士の葬儀は昨日の告別式で終わった。ショックだったが、悲嘆にくれて泣いてしまうことはなかったが、一人息子の挨拶を聞きながら思わずじ~ンときてしまった。大学の法律学科を終え、弁護士登録をするまでに10年近くかかった苦労の人でもあったが、誠実に職務を全うする姿をしっかり息子に見せて逝ったのだと思う。笑顔の良い人だった。

ロマンチックな恋の結末 3

調査に先立ち、被調査人のことも詳細に聞いた。探偵の僕としては、そうする間に依頼人の心境も何となく分かってくるし、ここは大事なところだが、依頼人の(この調査に賭ける意気込み)も計れるのだ。依頼人の妻(母親)の怒りは相当なもので、夫のことを話す時は夜叉のような形相になった。怖~い。顔は大分違うが娘とは一卵双生児みたいに気の合うところを見せ、母親を娘が煽る。展開である。妻(母親)の、夫や相手女性に対する憤怒と、娘の、父親の資産や年金、或いは保険に対する執着は温度差があり、聞いてる僕には強い違和感を覚えた。所詮、未婚の娘には母親の女としての情念は理解できないだろう。さらに聞き及ぶと、被調査人の職業は国立大学の天文学の教授で、知る人ぞ知る斯界の大物だった。----------

探偵日記

10月 29

探偵日記 10月29日土曜日 薄曇り

このところ暴飲暴食ぎみで胃腸の調子が悪い。昨夜は特に嘔吐気味で夜中に何度かトイレに駆け込んだ。幸い大事にに至らず目覚めた頃には治まった。でも、朝食のご飯は(普段の半部にして)と頼む。そんなことは年に1~2度しかないので、少々訝しがられた。「そんなに飲んだの?いったい何を食べたの。」と、怒られたが否認した。(笑)11時、新規のご依頼人と面談。無事受件し、事務所に戻って打ち合わせする。
午後6時、友人と食事の予定。それまで例の所でひと稼ぎ。もし負けたら利しりラーメンにしよう。

ドラマチックな恋の結末 2

その依頼人親子とは246沿いにあるホテルで会った。少し先に行ってラウンジの入り口に近い椅子に座って待つこと5分、一目でそれと判る親子連れらしき女性がやて来た。向こうも察っしたようで、僕が軽くお辞儀をすると満面の笑みを浮かべて近づいて来た。ラウンジに誘導して改めて挨拶を交わす。名刺を出すと「及川です」と名乗って、傍の若い女性を「娘のいずみです。まだ学生なんですが、この子がまず先生の本を読んで次に私が拝見しました。」などと言っている。依頼人の夫、すなわち彼女の父親の様子が変で母子でいろいろ詮索していたらしい。そうこうしているうちに、「動かぬ証拠を押さえました」と、やや興奮気味に娘が言う。何のことはない、父親の部屋に盗聴器を仕掛け、或る日、相手と思われる女性と(といっても相手の声は入らないので父親の発する言葉から想像したに過ぎない)次に会う日の約束をしたんです。だからその日に尾行して欲しい。と。-------------

探偵日記

10月 28

探偵日記 10月28日金曜日 曇りのち雨とか

金曜日は楽しみな日の中の一つである。というのは、タイちゃん(犬)の散歩を免除され、さらに、土日と続く。それでも習慣とは恐ろしいもので、4時過ぎには一旦目覚める。耳を澄ますと廊下を隔てた隣室でもぞもぞと動き回る気配が伝わってくる。同室者(奥さん)は知らんぷりを決め込んでいるようだ。5時、やがて我慢できなくなったか(ワン)と一声鳴く。するとドアが開き普段ならば僕の部屋にまっしぐら。ドアに鼻をくっつけ催促するが、それでも起きてこないようならノックを始める。とまあ、そんなわけで今日から3日間はゆっくり休める。ということは帰宅時間を気にする必要もないから、気の向くまま何時までも飲めるし歌える。なのに、昨日は8時に帰宅。早くからベッドに入って日本シリーズを観戦した。白状すると、もう体力が続かないのだ。嗚呼。

ドラマチックな恋の結末 1

平成21年秋、珍しく僕が事務所に居ると、これも珍しく固定電話が鳴った。事務の高ちゃんが応対していたが、ハイ居ります少々お待ちください。と言いながら、僕に「読者の方のようです代わってください」と言う。僕はどうせ最近とみに増えた営業の電話だろうと思っていたが違うようだ。僕が双葉社さんの好意で処女版「七人の奇妙な依頼人」が出てまだ3年ぐらいしか経っておらず時々こうしたお電話を頂戴していたので、ハイハイと応じながら受話器を取った。若い女性の声。「あの~七人の奇妙な依頼人を書かれた方でしょうか」僕(そうです)女性「あの本を拝見して、母がこの人にお願いしたいと言うものですから私が代わりに電話しています。お会いできますでしょうか」僕(勿論です。有難うございます。)というわけで、田園調布に住むという母子とその日のうちに面談の約束をした。初体験だが、本を1冊出したことで講演の依頼は来るし、冷やかしを含めて調査の問い合わせも増えた。中には、「今、小菅の拘置所に居るんだけど出所後に採用してもらいたい」なんて手紙も来た。律儀な僕は、まあ採用はともかく出てきたら遊びにいらっしゃい。という内容の返信をした。ちょっと横道にそれたが、電話の主は30歳ぐらいで知性が感じられる物言いだった。依頼人は母親で、父のことを調べたい。と言っている。-----------------

探偵日記

10月 27

探偵日記 10月27日木曜日 晴れ

朝ごはんを食べながらNHKの朝ドラを見る。ゴルフの予定が無い限りこれが僕の毎朝のパタ~ンだ。今朝もドラマの前の天気予報からテレビを見ていたら、湿度が30パーセントで爽やかな秋の1日になるという。支度をして外に出るとなるほど絶好のゴルフ日和である。しかし、来月の3日、文化の日まで予定はない。恨めしげに空を見上げ混雑する中央線快速に乗った。事務所に出て、3か月も待たせた依頼人に電話をかけ報告日の約束をする。僕が遅れたことを詫びると「そうですか良く分かりましたね」と労ってもらった。仮に依頼人が僕であれば、とっくに(もういい)と断っていただろう。20年以上前から時々依頼してくれる人で、互いの信頼関係は出来ているとはいえ。感謝、感謝。

家出人の捜索以外にもお手伝いさん求む。や、経理の責任者を募集する中小企業に対する営業は、一定の効果があり、25日に頂く給与の数倍の収入を得た。数年後、独立する頃にはそうして関係が出来た会社の数社が顧客として僕を支えてくれた。当時も今も、調査会社は歩合制の感覚もあって、時間外に調査員が何をしようとお構いなしの風潮がある。だから僕も新しく採用する人に対し「内職」(アルバイト)を奨励する。但し、緊急の呼び出しがあった場合1時間以内に現場に来ることを義務付ける。しかし、今の若い調査員は、スズメの涙ぐらいの給与で満足している。どっちがいいのかわからないが。----------

探偵日記

10月 26

探偵日記 10月26日水曜日 晴れ

「負の連鎖」と言う言葉をよく聞く。まさにその通りだと思う。悪いことは続くもので、事務所の不調に加え僕個人のバイオリズムも大きく低下しているような気がする。そんな矢先の今週月曜日、小社の顧問弁護士が急死した。事務所に居て、「さあこれから裁判所に行ってくる」と言って椅子から立ち上がった途端、胸を押さえてうずくまりそのまま亡くなったらしい。享年75歳。知らせを受けて事務所に駆け付けたが、すでにご遺体は所轄署に移動していた。(変死扱いで翌日検死し、事件性があれば解剖に回されるとの由)署に赴き会いたい。と言ったが、「親族でなければダメ」と断られる。30年前、当時の顧問弁護士が病死し、その先生の友人だった先生に、以後面倒を見ていただいた。正義感が強くおちゃめなところのある好人物だった。平成6年、僕が(七人の奇妙な依頼人第4話ヘッドハンティング)で書いた事件で、逮捕されたのちに弁護してもらったこともあった。100パーセント被害者と称す人物の嘘を承知の上で「福田君、相手は上場会社の重役だよ。裁判所が探偵の君のいうこととどっちを信じる?」と言われた先生の言葉を今でも覚えている。昨年、銀座で食事をして行きつけのバーでエッと驚くぐらい上手い歌を聞いたのが最後の思い出となった。(合掌)

家出した息子の消息を知りたい。と念じている両親は、僕が「探偵」と名乗るとほとんどの人が会ってくれた。面談した人は(わらにもすがる)思いだったのだろう。僕はじっくり話を聞き、良かったら任せてもらえないか。と言うと「お願いします」と言う。その後、「ところで費用はいかほどでしょうか」と聞かれた僕は、(いいえ1円も要りません。その代り、息子さんを見つけたら成功報酬を頂きたい)と応じた。その頃から、僕は家出人(すなわち所在調査)の場合、着手金は要求しない。探し出して、対面させてから報酬を頂く。ことにしている。ところが、それでは気のすまない。のが人情である。ましてや、生きているのか死んでいるのかわからない最愛の子供を見つけて欲しいのである。「だって交通費もかかるでしょうし、最初からただっていうわけにはいきません」といって、封筒を寄越す。勿論領収書なんか持っていないから書かない。その日から、事務所の仕事が終わると内偵を行い、親しいと思われる友人を尾行してみる。かなりの確率で成功した。或る時、都内でホテルをたくさん経営している韓国人のお父さんから「娘を探してくれ。もし1週間で探し出したら100万円やる」と言われ、2日目に彼氏の家に居るところを発見した。思えば当時の僕の月給が4万円の頃だった。そのことを若い人に言うと(またじじいがほらを吹いてる)という顔で笑う。最近の若者は上品で欲が無い。-----------

探偵日記

10月 24

探偵日記 10月24日月曜日 晴れ

土曜日は予定があって何となく忙しく過ごしたが、日曜日はやることもなく、ジムに行ったり伊勢丹にグレープフルーツを買いに行くなどした。夜は阿佐ヶ谷で食事。今朝は今季一番の寒さだったような気がした。朝5時、タイちゃんと未明の街へ。こうして、何時もと同じ1週間が始まった。

探偵事務所の業績は不安定である。我がTDAも昨年末目が回るような忙しさだったが、今年は8月以降閑古鳥が鳴く状態が続いている。「果報は寝て待て」なんて、のんびり構えていられない。とはいっても、いまさらじたばたしてもしょうがない。まあそのうち風が吹いてくるだろう。昭和44年、僕が神田の探偵事務所に入った時、その事務所もそうだった。暇なときは何にもすることが無く、かといって、安月給でパチンコにも行けない。渋面の所長とにらめっこする日が何日続くこともあった。そんなとき、僕は新聞の広告欄を見てアルバイトを思いついた。例えば、「お手伝いさん募集」を見ると、その家に電話をかけ、「経理社員募集」を見ればその会社の人事担当にアプローチする。そして、(そんな大事な募集をなさって、身元の確認をしないで採用するんですか)と営業をかける。家出人の捜索記事はけっこう高かったような記憶があるがほとんど効果なし。記事を出した人は親族であろう。聞いてみると、1日中電話の前で吉報を待っているのだが、ほとんどが根拠の薄い情報や冷やかし。と嘆く。----