探偵日記 1月13日火曜日 晴れ
朝5時、アラームで起きる。4日ぶりにタイちゃんの散歩に出る。寒い。
日曜日、ひととのやCCの月例に参加したが、またまた準優勝。支配人が笑いながら商品を手渡ししてくれる。もうこれで4度、3位が一回あるので年間5回賞に絡むがまだ優勝は無い。この日も、同ネットの2位。無造作に打ったあのパットが悔やまれる。同組の人たちばかり気にしているが、どんな場合にも伏兵は居る。夜は例のスナックで午前様。(天国に一番近いスナック)という名前をつけたお笑いの「玉袋筋太郎」氏も久しぶりにやってきて多いに盛り上がる。
今日は12時に麹町の弁護士事務所で打ち合わせ。家でゆっくりして11時に出る。
新宿・犬鳴き探偵事務所 2
犬鳴の生母春枝の兄に京都の同志社大学を出て、帝國興信所(現在の帝國データバンク)大連支社に入った人が居て、後年親交を深めることになったが、当時はまだ時々会う程度の距離にあった。
叔父はダンディな人で、興信所の調査員には珍しく、アルバイトで社交ダンスの教師もしていた。仕事が終わると、机からダンスシューズを取り出し、「おい、吾朗踊りにいこう」と言って、その頃賑わっていた新橋のダンスホール「フロリダ」に良く行ったものだった。しかし、暫くすると「春枝が、お前にダンスを教えると気違いに刃物になるからやめてくれっていうんだ」と言って誘われなくなった。春枝というのは僕の生母だが、彼女がそんなことをいうはずは無い。だって、常々、「吾朗あんたダンスぐらい出来なきゃあだめよ」と言っていたのだ。おそらく叔父は、犬鳴にダンスのセンスがないと見極めたのだろう。犬鳴自身も、歌を唄えばオンチ気味だし、踊っていても何となくリズムに乗り切れないと感じていたので、叔父には残念そうな顔をして承知したものの、本心は(ああ、良かった)と、ほっとしていた。