探偵日記 6月20日土曜日 晴れ
今日は半日ドッグの日。高円寺の河北病院の検診センターに8時着。諸々の検査を受けて11時前に終了。これで77000円。区の補助などで僕は24000円を支払った。病院は本当に良い商売だと思った。ただ、1年間の保証だと思えば安いものか。しかし、毎朝のご飯を抜いたので体調が悪い。
教師と教師 14
それから3ヶ月、小山内信雄は鬱々とした毎日を送った。確かに、数年前から妻との夫婦生活は無くなり、男と女の期間は過ぎ、今は「家族」として、それなりに愛情を注いで来たと自負している。勿論、その関係には可愛い子供も加わり、円満な家庭は揺らぐはずの無いものだった。と、自分は思っていた。しかし、高みから俯瞰して見れば、それは妻の偽りでかろうじて保たれていただけで、真の幸せとは程遠い砂上の楼閣だった事を思い知らされた。ではどうするか。元来小心で優柔不断な自分にはどう考えあぐねても結論が出ない。いっそ、誰かが公表してくれれば、第三者的な立場で(一体どういうことだ)と、妻を詰問出来るのに。
こんな時、他の人はどうするんだろうか。この間、何度となく探偵の犬鳴氏に電話で相談したが名案と呼べるような助言はなかった。何時も最後は「小山内さんがお決めになることでしょう」と言われた。報告を受けた日、犬鳴氏は「いっぺんだけ許してあげたらどうか」と言っていた。小山内自身、その方向で何度も考えてみたが(許す)という事がどういうものかぴんとこない。(何もかも無かったことにして、知らん顔をして妻と向き合っていれば良いのか)それでは解決にならないんじゃあないか。確かに、小山内が黙っていれば家庭の均衡は保てる。子供達も順調に成長できるし、周囲の好奇の目に晒されることも無い。それは良く分るのだが、じゃあ二人は相変らず週1~2回の割合でホテルに行く関係を続けるだろう。初めこそ、強い嫉妬は覚えなかったものの、今では、(ああ、今日も一緒かな)と考えただけで狂おしいほど嫉妬する自分が居た。ーーーーーーーーーーーーーーーーーー