探偵日記

探偵日記 9月21日月曜日 晴れ

今日は敬老の日。昔は確か9月15日だったように思うが、何時の間にか祭日や祝日が変則的に変わってきて僕のような古い人間には良く判らない。というわけでもないが、今日は何時もどおり事務所に出勤。現場の様子を聞いたり、依頼人に電話をかけたりしている。これからランチを済ませて新しい現場を下見に行く予定である。戦前や戦中に生まれた世代はじっとしていることが苦手で、わけも無く動き回る習性があるのか、(果報は寝て待て)とはいかず、(犬も歩けば棒に当たる)生き方を好む。

れんげ 53

 ひかるは、大田区で開かれた里親会から帰宅したあと、色んな思い出過ごした。預かったそれぞれの犬を愛し、人との交わり方や社会性を教え、月に二回開かれる里親会に、毎回参加し、安心して出せる人を吟味しながら嫁入りさせてきた。そしてその後も、その犬達の行く末を見守り、気が向けば会いに行って幸せに暮らす様を見ては、一人だけの至福の時を味わった。仕事を持っているため、二人の子供たちに、食事や散歩を任せることもある。母親に似て、小動物が好きな子ども達は嫌な顔一つせずひかるの願いを聞いてくれる。あの日も、帰宅するともう学校から帰っていた長女の友紀に里親会の様子を話すと、「へ~そうなんだ。私はすっかり涙なみだの愁嘆場になってるんだろうって思ってた」と、意外そうな顔をした。ひかるは、いやそうじゃあない。実は、と、その時のれんげの変化を話そうと思ったが、まだこの子にはすべては理解できないだろうと考えてやめた。ーーーーーーーーーーーーーーーー